データベース『えひめの記憶』

えひめの記憶 キーワード検索

愛媛県史 地誌Ⅰ(総論)(昭和58年3月31日発行)

1 交通圏の設定

 機能からみた地域

 愛媛県には一二の市があるが、各市はそれぞれ特色をもっていて、地域の中心としての機能を果たしている。この中心都市の機能の及ぶ範囲は、都市の規模や都市のもつ機能の性質により異なるが、中心都市とその機能の及ぶ範囲をあわせたものを一般に機能地域とよんでいる。すなわち、中心都市が周辺地域に対して種々のサービスや商品などを提供し、周辺地域がこの中心都市の機能に依存している場合に、これを一つのまとまりのある地域と考えるものである。
 中心都市の機能の及ぶ範囲をみるには、通勤・通学交通量や地域間自動車交通量などの、何らかの意味で地域間の結びつきを表す指標を利用することができる。ここでは、通勤・通学交通量を用いて、中心都市の機能の及ぶ範囲、すなわち交通圏を設定してみた。通勤・通学交通は、さまざまな交通のなかの一つに過ぎないが、それは交通を介しての都市の勢力圏を示すものであって、交通圏設定のために適当な指標の一つと考えられている。     

 交通地域区分

 交通圏を設定する方法としては、まず各市町村について、最大の通勤・通学交通量を示す他市町村を見い出し、当該市町村がその市町村に通勤・通学でどれだけ依存しているかを求める。これを対地第一位通勤・通学依存率という。そして、当該市町村の発生交通量と、対地第一位の市町村のそれと比較して、後者が前者より大きい場合に、前者が後者の圏域に含まれるとした。このような基準で県内の通勤・通学圏を設定したところ、県内は八つの圏域と二つの副次的圏域、それに他県を指向する一つの圏域とから構成されていることが明らかとなった(図6―17)。


図6-17 愛媛県の通勤・通学圏(昭和50年)

図6-17 愛媛県の通勤・通学圏(昭和50年)