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愛媛県史 地誌Ⅰ(総論)(昭和58年3月31日発行)

3 土地改良

 新法の誕生

 土地改良法は昭和二四年六月に制定された。従来の耕地整理法、水利組合法を統一したもので、その目的は農用地の改良・開発・保全および集団化に関する事業を適正かつ円滑に実施することにあった。土地改良事業の施行主体あるいは管理主体として、土地改良区が組織されることとなった。

 第一次構造改善事業

 昭和三六年六月一二日農業基本法が制定された。その二一条には、農業構造の改善に関し、必要な事業が総合的に行われるようにとの規定かある。これによって進められたのが第一次農業構造改善事業である。農業技術の革新と、農業生産の選択的拡大を図りつつ自立経営の育成と、協業の助長に資するのが目標である。都市化、工業化が予想される地域などを除き、大区画の圃場整備や大型トラクター導入、集団的な樹園地の造成や選果場の整備など、土地基盤整備と経営近代化施設の導入を組み合わせて実施された。昭和三六年度から四五年度までの一〇か年で行われた。
 この事業は、短期間に多額の投資を必要とし、農家負担も一時的に集中するので、国五〇%、県二〇%の高率の補助で行われた。愛媛県では、三六年度に、松山市(道後祝谷)、伊予郡砥部町(麻生)、東宇和郡宇和町(永長)〈中止〉の三地区をパイロット地区に指定して、三七年度から事業が実施された。これを拠点として四五年度までに、六三市町村を計画地域に指定し、四五年度までに五八市町村五八地区が工事を完了し、農業近代化の先進的拠点として成果をおさめた(図4-23・24)。

 第二次構造改善事業

 第一次農業構造改善事業の実施を通じてその成果と反省の上に立って、第二次農業構造改善事業が、昭和四四年度に発足した(表4-11)。その指定地域は、農業経営規模の拡大、協業経営または協業経営組織の設立などとあわせて、生産基盤の整備開発、農業近代化施設の導入など、農業構造改善に必要な事業が、総合的、効果的に実施される区域であった。その主な目標は、地域の諸条件に応じた自立経営など規模が大きく、生産性の高い農業経営を育成し、それらの経営が地域農業の中核的な地位を占めるような農業構造の実現を図ることにあった。この事業は、農用地が二〇haから二〇〇ha(一団地の面積約五ha以上)で施行された。四八年度から稲作転換率二〇%以上の地区については、一〇〇ha以上を県営で施行することとなった。
 なお、愛媛県は、四八年に、「営農の組織化」を推進するため、県内を一二の広域営農圏(ほぼ旧郡単位)に編成した。高級化、多様化する農産物需用の動向と、地域の特性に即した新しい農業地図が策定された。重点作目は、かんきつ・かき・くり・米・野菜・花卉・葉たばこ・まゆ・乳用牛・肉用牛・豚・にわとりである。
 第二次構造改善事業の実施期間は、四四年度から一〇か年間であった。一地域あたり、事業費おおむね二億七〇〇〇万円で、四か年(第一年度三割、第二年度三割、第三年度二割、第四年度二割)で事業実施を行うものであった。事業実施にあたっては、国庫補助五〇%、愛媛県では土地基盤整備については、二〇%の県費助成を行い、施策の推進がはかられた。

図4-23 愛媛県における第一次農業構造改善地域

図4-23 愛媛県における第一次農業構造改善地域


図4-24 愛媛県における第一次農業構造改善事業の指定状況及び事業実績

図4-24 愛媛県における第一次農業構造改善事業の指定状況及び事業実績


表4-11 愛媛県の第2次農業構造改善事業計画指定地区一覧表

表4-11 愛媛県の第2次農業構造改善事業計画指定地区一覧表