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えひめ、昭和の記憶 ふるさとのくらしと産業Ⅴ -愛南町-(平成25年度「ふるさと愛媛学」普及推進事業)

第2章 ふるさとの山の恵みと海の恵み

 太平洋を流れる温暖な黒潮(くろしお)が岸辺を洗う愛南町は、愛媛県の西南端に位置し、標高約1,065mの篠山(ささやま)を頂点とする険しい山地とリアス海岸が続く一方で、僧都(そうず)川によって形成された御荘(みしょう)・城辺(じょうへん)の平野や増田(ますだ)川が流れる一本松(いっぽんまつ)の盆地が広がり、冬は温暖で無霜期間が長く、春の訪れが早い。このような自然条件を巧みに生かした農業や林業、漁業が盛んに行われ、人々は豊かな恵みを得てきた。
 本章では、甘夏柑(あまなつかん)などの柑橘(かんきつ)栽培や山間部での炭焼きに力を尽くした人々や、カツオ釣りやまき網漁業など「とる漁業」に従事した人々の、生業とともにあったくらしや思いを明らかにしようとした。