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県境山間部の生活文化(平成5年度)

第1節 久万山の峠-今と昔

 「峠」誰が、こういう字を考えだしたのであろう。まことに平易でわかりやすい。しかし、それは三つの文字を単純に組み合わせただけの地理的な〝概念〟の表現にとどまってはいない。峠を上る人、下る人、姿も形も違えば目的も異なる。それぞれがさまざまな人生を歩いている。
 峠を越えると新しい天地が開け、新生活に夢を託した人々は、わらじばきで一歩一歩大地を踏みしめながら登ったり降りたりしたことであろう。今やクルマ社会の到来で〝人間の歩く道〟を次々と変えている。このような近代化の波は峠の姿を変えていく。人が環境を動かし、環境が人を動かす。峠にスポットをあてることによって、住民とその周辺の変転をとらえることができるのではなかろうか。山村の人々のくらしを聞き取り中心に浮き彫りにしたい。