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わがふるさとと愛媛学Ⅶ ~平成11年度 愛媛学セミナー集録~

◇ふるさと探訪とは

 皆さん御承知のように、四国には弘法大師空海が開いた88の霊場(札所)があり、現在でも巡礼をする人々の姿が絶えません。そして、砥部四国とは、四国八十八か所霊場を実際に巡礼してみたいものの、費用や日数がかかってそうすることができない人たちが考え出した知恵だったようです。すなわち、町内各地に立っている88体の石仏を霊場に見立て、それらを歩いて巡るもので、その起源は江戸時代にまでさかのぼると言われています。
 この砥部四国を活用したふるさと探訪は、砥部町中央公民館が主催する事業で、別名「砥部四国巡り」とも呼ばれています。毎年3月下旬に三日間の日程で開催され、子供からお年寄りまで約100人が参加しています。その行程は山あり谷ありで、実際に歩いてみるとなかなかハードなものです。
 ふるさと探訪では、参加者の集団を「巡拝団」、巡るコースのことを「巡拝コース」と呼んでおります。これは、ふるさと探訪が砥部四国を巡る形をとっていることから、便宜上宗教用語を拝借しているわけです。同様に、道案内をする人のことを「先達(せんだつ)」と呼んでおりますが、これもいわゆる宗教的指導者という意味ではありません。現在、19名が先達を担当し、「先達会」が構成されています。わたしはその会の副会長を務めながら、先達としてふるさと探訪に協力させていただいております。