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わがふるさとと愛媛学Ⅶ ~平成11年度 愛媛学セミナー集録~

◇地域の魅力の発見

小西
 どうもありがとうございました。続きまして、わたしは、小田町で学んだことということで、少しお話をさせていただきます。それで、小田町についてあまりよく知らない方もいらっしゃるのではないかと思い、スライドを御覧いただきながら、聞いていただければと思います。

写真1
 これが小田町の風景です。町全体の約90%が山林です。愛媛県には70の市町村があり、そのうち小田町の面積の大きさは11番目ですが、ほとんどが山です。町をほぼ東西に横切る形で小田川が流れていまして、その川に沿って道がついています。そして家々が並び、裏手はすぐ山につながっています。

写真2
 自然は非常に美しい所です。これは何の花かお分かりでしょうか。カタクリの花です。小田町へ行きますと、こういう自然がたくさん残っています。また、お恥ずかしい話ですが、わたしは、卯(う)の花(ウツギの花のこと)というのも知らなかった。「卯の花のにおう垣根に」という歌詞では知っているのですが、実際どれが卯の花かは知りませんでした。ところが、初夏になると、小田町内に一杯咲いているのですね。先ほどの石森先生のお話の中に、経済的な発展には遅れはしたが、それゆえに美しい自然が残ったという意味のライシャワー博士の言葉がありましたが、わたしが小田において感じた喜びというのは、まさにそれだったのです。

写真3
 これが秋の風景です。非常に美しい紅葉です。初めて小田の紅葉を見た時は、四国にこんなにすごい所があるのかととても感激しました。それで、毎年紅葉狩りに行くようになりました。10月の終わりから文化の日くらいまでが見ごろですので、その期間には必ず小田深山(おだみやま)を訪れるようにしています。山の元気というか、自然の力を小田深山からもらっているような気がしております。
 このように、小田町には豊かな自然が残っています。自然は、一度破壊してしまうと元に戻すのは非常に大変です。ですから、小田町は、非常にすばらしい財産を失うことなく保ち続けていると言えると思います。
 そして、こうした自然は、恐らくは、わたしがくらしていた約20年前の砥部町にもあったはずです。ただわたしは、その時、つまり砥部町に住んでいる間は、そんなにすばらしいものだとは思わなかった。そして、20年後に小田町へ行き、その風景を見た時、まさにここには20年前の砥部があるではないかという感じを受けたのです。砥部にいる間は、そういうもののすばらしさが分からなかったから、それとうまく付き合えなかったのですが、小田では、逆に初めからそれがすごいなと感激したお陰で、それとうまく付き合うことができた。だから小田町は、わたしにとっては、実際のふるさと以上にふるさとのような町という感じがするのです。