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わがふるさとと愛媛学Ⅴ ~平成9年度 愛媛学セミナー集録~

◇ホームステイから得たもの

 タイでは現地の人の人情にも触れることができました。僕を招いてくれた高校生の女の人は、友達がたくさんいて、その中でも特に仲のよい5人を僕に紹介してくれました。その人たちとは、学校が終わった後などに、いつも一緒に買い物に行ったりしました。その中に、一緒にタイに行った藤村君のホームステイ先の人もおり、僕は藤村君と行動を共にすることがほとんどでしたので、とても助かりました。
 コンケン市の学校訪問に行った時や、7人で夜店を歩いた時も、その人たちがみんなでカンパして、僕たちの食事の分までお金を出してくれました。僕たちは、なんだか悪いような気がしていたのですが、結局最後まで、僕たちも払いましょうかという一言が言えずに終わってしまいました。この人たちといると、時間がたつのが早く思えました。この人たちのおかげで、不安だったホームステイに楽しい思い出を残すことができました。
 そして別れがすぐにやってきたような気がします。別れの日は、いつもより時間の流れが遅く感じられました。僕の回りの人の口数が少なくなっているのにも気づきました。僕のホームステイ先のお父さんが経営しているレストランに着いた時、いつもの5人の中の2人が会いに来てくれていました。そして空港へ向かう時、そのタイの友達2人が乗る車で行くか、僕のホームステイ先のお母さんが乗る車で行くか、選択を迫られました。その選択に、僕はすごく悩みました。お母さんにはお世話になったけれど、友達といた時はとても楽しかったという思いが、頭の中を巡りました。結局、僕は友達の乗る車で行くことを選びました。その時に見た、お母さんの悲しそうな顔を思い出すと、今でも胸が痛くなります。けれど、これは仕方がなかったんだと、今ではそう思っています。
 こんなふうに、いろんなことがあったタイでの12日間の体験は、これからの僕の人生の糧となるでしょう。それだけ、この事業の中で得たことは大きいと思います。
 そしてタイヘ行ったことが無駄にならないように、ここで教わったすべてを常に生かせるようにしたいと思います。そしてこの事業に参加させてくださった方々に感謝して、これからの事業の発展を応援したいと思います。