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わがふるさとと愛媛学Ⅳ ~平成8年度 愛媛学セミナー集録~

◇町並みを訪ねて-愛媛学の趣旨

矢野
 失礼します。御紹介にあずかりました矢野と申します。今日は、愛媛学セミナー「文化薫る宇和のくらし」のコーディネーターをおおせつかりました。
 コーディネーターの依頼があった時に、こういう改まった席で、大役が務まるかなと思ったのです。何かの間違いではないか。普段勝手なことをだいぶ言っていますから。
 考えてみますと、以前、友人が編集していた雑誌に、愛媛県内のあちこちの町並みを歩いての紀行文を寄せていまして、その時に宇和の里も歩いたことがあるのです。そんなことがあったから、今回の役割が回ってきたのかなという感じがしています。
 ところで、町並み取材の依頼があった時に、村や町を訪ね歩いて、一回分の原稿にできるだろうかということで、不安に思っていました。ましてや、建築とか町並みのことについては、ほとんど不案内なものですから、余計不安に思っていました。しかし、実際にいろいろな町を訪ねてみますと、それぞれの町すべてにいろいろ変わったことがあり、なかなか面白かったのです。また、その町にはいろいろなすごい人たちがいました。そんなことで、都合40回にわたって、町並みを訪ねたわけです。
 今思えば、当然のことなのですが、100の町があれば、100の物語があり、100通りの生き方があるというふうに思いました。一個の石ころがあっても、その町の歴史とか、物語の中に放り込んで見てみると、そこには生き生きとしたものが見えてくる、ということを感じたわけです。そしてその取材を通じて、町を訪ねるということが非常に面白くなってきて、いろんなことが見え始めてきました。
 自分としては、そういうことを通じて、愛媛の個々の町を見て、今日のテーマであります愛媛学をやってたのだなあと思っています。