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わがふるさとと愛媛学Ⅳ ~平成8年度 愛媛学セミナー集録~

◇生活の中の俳句

 古いことはそれぐらいにして、現在、北条には20ぐらいの俳句のグループがあります。そして皆さん、それぞれのグループで俳句活動をしていますが、だいたい人数にしますと、200人ぐらいの人数になろうかと思います。そういうグループには、それぞれの結社がありますが、北条では、その方たちが一つになって、北条俳句協会というものを作って活躍をしています。
 この北条俳句協会は、お互い同士の親睦を図るために活動しているわけですが、その中でいろいろと行事もしています。特に子供の俳句活動を盛んにして、私たちの北条の良さを見つめ直してもらわなければというようなことで、北条俳句協会と、それから教育委員会にもお願いをして、子供の俳句会を持っております。これはちょうど、今年で11回になります。
 そのほか、「風早一茶の会」というものを作り、一茶の跡を研究したりして、グループで頑張っています。昨年は、一茶来遊200年の記念式典も行いました。その他、一茶の道の健康ウォークなどを市の主催で行い、俳句や一茶の道を検証したり、俳句を作ったりしていますし、鹿島では俳句ポストを置いて、県外から来た人にも投句をしていただいて、観光に努めたりしています。
 私たちは、この素晴らしい海と自然、そういうものに恵まれ、豊かな人情を持った、この風早を、子供を通して、後世にも伝えていきたいと思うのです。新しい流れの中で子供が成長していくわけですが、今まで私たちが出会ってきた北条とは違った面で、子供たちが、この風早、この北条を見つめ直していってくれると思うのです。そして、その元になるものは、やはり私たち大人が、子供たちにどれだけこの風早の良さを植えつけておくかということだと思います。
 高浜虚子のお母さんは、幼少の虚子に風早の土地をしっかりと植えつけたのだそうです。海を見たら、鹿島がある。夕陽が美しい。千霧(ちぎり)、小鹿島(こがしま)、玉理(ぎょくり)・寒戸(かんど)の島々があるじゃないか。山を見たら、高縄山のきれいな山並みがある。恵良(えりょう)、腰折が見えるじゃないか。そういう非常に美しい景色を高浜虚子に植えつけたということが、虚子の日誌に書かれております。「自分を育ててくれたのは故郷である。それが私の今の人生を作ったんだ。」と虚子は言っています。
 これからの風早を荷(にな)ってくれる子供たちへの一つの指針として、風早のよさを少しでも多く伝えておくことが、わたしたち大人の役目ではないかと思います。それが、これからの北条のまちおこしにもつながるのではなかろうかと思います。