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わがふるさとと愛媛学Ⅳ ~平成8年度 愛媛学セミナー集録~

◇生活を支えてきた「むかし話」の価値

 私は、風早の文化の一分野として、風早の民俗文化についてお話をしたいと思います。民俗文化と言っても、今日は、特に民話・伝説を包含した「むかし話」と、ずっと昔から、その地域や土地土地に残っている年中行事について、お話をさせていただこうと思います。年中行事については、現在も行われているものも大変たくさんあり、昔はとてもにぎやかにやっていました。しかし、今はもう絶えている年中行事もあります。つまり、地域によっても、続けているところ、絶えているところと、いろいろあるようです。民話、伝説も同じで、いずれも古くから人々の生活の中で生き続けてきた地域の貴重な文化遺産ですが、次第に忘れ去られてきているように思います。そういうものを消さないようにするために、古老の方々にいろいろと教えていただいて、書き残してきたような次第です。現在もいろいろと教えていただいているところで、今後も続けていきたいと思っています。
 こうした活動の過程で思ったことは、そういう民俗文化と地域の人たちとの結びつきが、大変深いということです。むかし話、民話と言うと、何か笑い話ですませてしまうようなところがありますが、その中にはやはり、その地域の人たちが過ごしてきた様子やくらしぶりが、いろいろと物語られており、子供たちが育っていく過程で、ふるさと意識を心に刻みつける一つのきっかけとなるものがあるように思います。そういうことを考えたりしながら、むかし話の収集を続けているわけです。