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わがふるさとと愛媛学   ~平成5年度 愛媛学セミナー集録~

2 伊予顔

 私は、このスナップを整理しているうちに、旅の人と地元の人がはっきりとわかるようになってきた。それに伴って、伊予顔というのがあるのではないかと、考えるようになった。確かに「讃岐顔」というのはあるようで、それは現在の香川県一帯から新居浜あたりまでを含めた北四国に広がっている。知人の話によると高知県に県外出身者が住みつくと、土佐人独特の顔というのも、はっきりわかるそうである。
 先日の朝日新聞に、天野祐吉さんが「人の顔も、町並みも、川の流れも、実は伊予弁でできていたのである。」と随筆で記されていたが、私の考えと似ており、これら漠然とした印象から、何か意味のあるものが取り出せるのではないかと考えている。
 では学問的に特定できるであろうか。それには非常にたくさんの(県下の)人々の写真を集め、コンピュータで、共通部分の合成や相違点の消去をするなどしなければならない。また標準的な顔は除いていくというような作業をしなければならないだろう。肖像権や撮影度胸の問題もあって、なかなか難しいと思うが、なんらかの形で収集できないものであろうか。
 こうした目的を持って収集整理していけば、将来において、学問的とまではいかなくても、伊予の顔というものの証明ができるのではないかと考えている。
 日々のくらしを写真で撮り放しにするのではなく、皆さんで何か思いつかれることがあったら、そのような意味合いを込めて、撮影されるなり、整理されていくことで、貴重な記録や学術的な資料にもなるのではないかと思われる。
 私の頭に浮かぶ、「伊予顔」は、亡くなった丸山定夫や井上正夫がそれではないかと思っている。