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わがふるさとと愛媛学   ~平成5年度 愛媛学セミナー集録~

3 民謡ブームと民謡の変化

 明治44年に北海道江差で開かれた「江差追分のコンクール」を機に、各地方で「民謡のコンクール」が盛んになったことや、全国各地にNHKが開局し、それぞれの地方の民謡を取り上げたことから、民謡ブームが起きた。
 今、全国的に知られている民謡のほとんどは、のど自慢の人々や民謡歌手などの、美しい声と節回しによって紹介されたもので、最近有名になった「宇和島さんさ」も、民謡コンクールで優勝したのがきっかけで、愛媛の代表的な民謡として知られるようになった。
 しかし、民謡には、西洋音楽のように楽譜がない。口伝えや聞き覚えで、ずっと伝わってきたので、歌い手によっていろいろ表現した。そこで各地に民謡保存会ができ、「正調○○節」と認定して今日にずっと広がってきた。会場に流れている「追分節」も、元は三味線伴奏の騒ぎ歌だが、尺八と一体となってこのような美しい追分節が生まれたわけで、いわゆる、人に聞かせる民謡へと変わってしまった。