データベース『えひめの記憶』
愛媛学のすすめ
私が考える地域研究の新視点
これまでのささやかな地域研究の体験に立って、愛媛学研究の視点について考えてみたい。
1 市町村と並行して
「愛媛学」があるなら、「市町村学」も成り立とう。とすれば、地域研究としては、相互の関係が密接であるから、両者を並行して研究を進めたい。
2 学習から研究へ
一部のエリートを除いて、研究には大きな抵抗がある。何を研究するか、どうして研究するかがわからない。したがって、「研究しよう」と呼びかけても、人は集まらない。地域の研究にあたっては、だれにもできる地域についての学習から導入して行くのが、無理のない順序と思う。
3 学習・研究のグループづくり
地域の学習・研究は個人でもできるが、同じ目的を持つ人たちによるグループづくりが望ましい。グループや団体の結成にあたっては、次のような方向付けが考えられる。既存の団体も、この際検討してほしい。
①上から与えられた組織ではなく、会員の盛り上がる組織であること。
②時代の動きにともなって、活動がマンネリズムにならぬこと。
③自由な雰囲気であること。
④創造性を尊重すること。
⑤有能な指導者を得ること。
リーダーは、高い見識を持つ、奉仕の精神に徹する、会員のアイデアを生かす、包容力があること、などが望ましい。
4 体験による学習・研究
研究発表や講演を聞くだけというような単純な活動ではなくて、多彩な体験学習・研究を計画実践したい。
①講演会・講座は参加者の質問、意見など活発な話し合いを取り入れる。
②見学 自然、史跡、施設、会社、工場など。目、耳、手、足を動かせる。
③講演会・講座・シンポジウムは、聞くだけの会とならぬように。
こうしたイベントの中では、映画・ビデオ・スライドなどの視聴覚機器を活用する。
5 情報の重視
地域の学習・研究活動では、情報が重視されなければならない。
①学習・研究の成果は印刷物として刊行。
②講演・講座・会活動の状況も同様。
③各地のイベントの紹介。
魅力のある研究文献を集積すること。
むすび
今後県下の各地に、それぞれの「市町村学」の学習・研究団体が結成され、相携えて「愛媛県学」に取り組みたいものである。