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えひめ、人とモノの流れ(平成19年度)

1 県境の山村

 上浮穴郡は四国山脈の西部に位置し、延々60kmにわたって高知県と境を接する、県下でただ一つの海を持たない山郡である。山は高く、谷は深く刻まれ、集落はその谷川に沿うわずかな平地と、傾斜する山腹に位置している。
 澄み切った面河(おもご)川が貫流し、御三戸嶽(みみどだけ)で知られる久万高原町美川地区(旧美川村)は、上浮穴郡の東部に位置し、地区の東側を高知県と境を接しており、南西にわずかに喜多郡内子町小田地区と境を接するほかは、愛媛県内の他郡と境を持たない。
 地区の中央部に国道33号と県道西条-久万線の分岐点がある。松山市へ46km、高知市へ79km、両市の中継点として、四国の南北交通の要所である。また面河川と久万川の合流点ともなっており、景勝面河渓(おもごけい)への入り口にふさわしく、石灰岩の御三戸嶽(県指定名勝)が清流をめぐらせて屹立し、四季の眺めが美しい。そして雄大なカルスト地形を呈した美川スキー場は、憩いの森も兼ねて一大スポーツ・レジャーエリアを形成している。また海岸山岩屋寺は四国霊場四十五番札所として、年間三万人の参拝者が来訪する。
 美川地区は北と東と南を1,200mを越える山脈にふちどられ、西の旧久万町との境は700~800mの稜線となっている。美川地区のだいたい800m以下の山地は面河川の主流と支流が縦横に刻んで流れている。各所で多くの支流が出会いまた屈曲して流れ去り、わずかな平地があれば集落と水田を作り、傾斜地は畑・山畑とし、山地は緑一色のスギ・ヒノキの人工林でおおわれている。
 土地利用状況は90%が山林・原野で農地はわずかに4.7%でそのうち畑が3%、田が1.7%となっており、純然たる山村型である。したがって産業分類別人口を見ても59. 2%までが農林業に従事している(昭和55年現在)。林業と複合経営で葉タバコ・茶・高冷地野菜(ダイコン、キャベツ)、畜産などが行われている。
 **さん(昭和2年生まれ)、**さん(昭和8年生まれ)、**さん(昭和11年生まれ)から、山間部の生活や行商、情報の伝達などについて聞きとり調査をした。


図表3-3-1 久万高原町美川地区

図表3-3-1 久万高原町美川地区