データベース『えひめの記憶』
えひめ、人とモノの流れ(平成19年度)
第1章 愛媛の人とモノの流れ
瀬戸内海は、古代から現在に至るまで日本の交通の大動脈として、重要な役割を果たしてきた。その中で、愛媛県の人々は、歴史上での河野水軍や村上水軍などの活躍や、古代から現在にいたる海運業などの海上交通において、日本の歴史の中で先進的役割を担ってきた。
20世紀に入ると海上輸送に加え鉄道・自動車等の陸上輸送が著しく発達したが、本県の場合には、陸上交通網の整備は海上交通の発達とは逆に遅れていた。これは、平野部が狭小で海岸近くまで山が迫り峠の多くある地形が、陸上交通の面で大きな障害となったからである。しかし、先人たちの将来を見すえた構想とたゆまぬ努力により、高速道路・本四架橋などに代表される陸上交通網の整備が、近年飛躍的に進んだ。それにともなって人とモノの流れも大きく変わり、新しい動きが生まれている。
本章では、昭和初期から現在にいたる陸上・海上交通の発達により、愛媛県全体の人とモノの流れがどのように変化していったのかを明らかにしようと試みた。また、交通の発達が県内各地の人々の生活や文化にどのような影響を与えてきたかを探った。