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えひめ、その食とくらし(平成15年度)

(2)郷土料理を核として

 ア しまなみグリーン・ツーリズム

 越智郡島しょ部の9町村(吉海(よしうみ)町・宮窪(みやくぼ)町・伯方(はかた)町・魚島(うおしま)村・弓削(ゆげ)町・生名(いきな)村・岩城(いわぎ)村・上浦(かみうら)町・大三島(おおみしま)町)は、平成12年(2000年)度から、瀬戸内しまなみ海道(西瀬戸自動車道)沿いの活性化を図るため、しまなみのすばらしい景観や農水産物を活用し郷土料理等を核とした、しまなみグリーン・ツーリズムを推進している。グリーン・ツーリズムとは、1970年代からイギリス、ドイツ、フランスを中心に長期休暇が普及するにつれて広まった休暇形態で、都市の住民が自然の豊かな農山漁村を訪れ、自然や文化をはじめ、地元の人々との交流を楽しむ滞在型の余暇活動のことである。
 越智郡の9町村で組織した、しまなみグリーン・ツーリズム推進協議会が主体となり、今治中央地域農業改良普及センターしまなみ普及室が事務局的な役割を果たしながら、実際の受け入れにあたる各種団体を援助・指導している。平成13年(2001年)に受け入れを始めた時には、体験学習は32コースであったが、平成14年からは、特産品や郷土の食材を使った料理体験ができるふるさとの味体験が40コース、いも掘り収穫体験や地引き網体験などの農・漁業収穫体験が46コース、注連縄(しめなわ)作りや炭焼き体験などのくらしの技体験が10コース、潮流体験や鯛(たい)1日体験隊などの島遊び体験が4コース、瀬戸内の農林水産業や生活の知恵が体験できる合計100のコースが用意されている。中でも、ふるさとの味体験では、魚のさばき方、いぎす豆腐とところてん作り、ちまき・かしわ餅(もち)作り、たこ飯作り、釜(かま)飯作り、いも餅作り、みかん餅作りなどのコースが設定され、9町村の郷土料理を作って味わえるようになっている。
 しまなみグリーン・ツーリズムの現状と今後の課題などについて、しまなみ普及室に話を聞いた。
 「平成12年度から普及活動を行ってきましたが、最近やっと知られるようになり、島を訪れる人が増えています。ただ、本来のグリーン・ツーリズムは、訪れた都市住民が農山漁村に宿泊、滞在し地域の人々との交流を深めるのが主目的ですが、しまなみの場合は、さまざまな法律上の制約などのため、今のところ食を中心とした1日の交流体験が多くなっています。
 平成14年からは、修学旅行生も訪れるようになり、受け入れ側にも活気が出てきたように思います。去年は東京(186人)・大阪(186人)の中学生が来ました。今年も大阪(150人)・神奈川(180人)の中学生と広島の小学生(50人)がやってくることになっています。修学旅行生には、いぎす豆腐・羊羹(ようかん)・ジャム・ちまき・かしわ餅作りや、いちご狩り・魚釣り・地引き網漁・潮流体験などを体験してもらっています。特に東京からやってきた186人の中学生とは、事前にグループ単位で、電話やファックスを使って入念な打ち合わせを行い、島に来た時には『顔は見てないけど、おばちゃんの声は分かるよ。』という状態でしたので、非常に熱心に取り組んでくれました。体験後の感想には、『釣ったばかりの魚を昼食で食べておいしかった。』とか、『家では料理を作ったことがないので、楽しかったし、おいしかった。』と書かれてあり、受け入れ側も手ごたえを感じていたようでした。ただ、修学旅行生は滞在時間が限られているので、交流の時間が少ないことが悩みです。今後とも、さまざまな形で情報を発信し、より多くの方々に交流体験を楽しんでもらいたいと考えています。」
 実際に受け入れを担当している有津(あろうづ)婦人同志会の**さん(伯方町有津 昭和12年生まれ)に話を聞いた。
 「現在伯方町内には4つの生活改善グループがあり、しまなみグリーン・ツーリズムの観光客を受け入れています。私たち有津婦人同志会は、8名の会員で、いぎす豆腐作り・羊羹(ようかん)作り・ごもく飯作り・すし作り・たこ飯作り・釜(かま)飯作り・魚の開き方教室などを担当しています。
 私自身のグリーン・ツーリズムとのかかわりは、平成5年(1993年)からです。食アメニティ・コンテスト(農林水産省が主催し、農山漁村の女性グループ・個人の中で、自主的努力により地域の特産物を活用した起業活動などを通じて地域づくりに貢献している優秀な活動事例について表彰を行うもの)に『瀬戸の香(かおり)』という名前で、ワカメの芯(しん)の佃煮(つくだに)、イギスの味噌(みそ)漬け、ヒジキの佃煮、ふくしん漬けなどを出品して私たちの活動を発表したところ、農林水産大臣賞をいただきました。養殖ワカメを製品化する過程で大量に処分されていたワカメの芯を佃煮にしたり、ふくしん漬けにワカメの芯を加えて加工しました。イギスの味噌漬けは、味噌の仕込みの時に一緒に海藻の一種イギスを漬け込む伝承の味です。この受賞後、イギリス・ドイツに行った時に、グリーン・ツーリズムを体験しました。B&Bという、ベッドと朝食のみの簡単なサービスを受け、ホームステイしました。その時『こんなんじゃったら、私らでもできるわい。』と思いました。その後、東京で講習も受け、平成12年(2000年)にしまなみグリーン・ツーリズムの取り組みが始まったころから、受け入れ団体作りにかかわってきました。
 最初のころは戸惑っていましたが、今では、交流体験が受け入れ側の私たちにとっても楽しみの一つになっています。今年(平成15年)7月、しまなみグリーン・ツーリズムの視察にきた山口県東和(とうわ)町のグループには、2日間にわたって4つのコースを体験してもらいました。その時始めて、東和町にもいぎす豆腐と呼ばれる料理があると聞きました。この辺りでは、イギスを固めるときにダイズの粉を使い、エビや野菜などの具を入れて味付けしたものをそのまま食べますが、東和町では米ぬかで固めたものを醬油やポン酢などの調味料をかけて食べるそうです。こういったお互いの情報を交換し合うことも楽しみになっています。
 東京から来た中学生には、生きたままのタコを洗うところから体験してもらいましたが、吸盤が引っ付くのを珍しがって、興味を持って取り組んでくれました。自分たちで作ると、食が進むようで、『おいしい、おいしい。』と言いながら、楽しそうに食べてくれました。体験の受け入れが決まると、時期によって何を体験してもらうか、旬(しゅん)の食材をどう味わってもらうかなどを、会員みんなで考えることも楽しみになってきました。
 ただ、残念なことに、この島でも各家庭で郷土料理が作られなくなっています。お金さえ出せば何でもそろう時代ですから仕方ない面もありますが、寂しい気持ちです。この狭い島の中でもいぎす豆腐の味や中に入れる具が、地区ごとに少しずつ違っていますが、郷土料理は地域特産の旬の食材をいかにおいしく食べるかという生活の知恵が詰まったものだと思います。私たちが子どものころ、トロっとしたイギス入り味噌汁を母が作ってくれ、夏ばてや下痢のときに食べていました。こういった生活の知恵やおふくろの味の詰まった郷土料理を、子や孫へと伝えていきたいと思います。」

 イ ふるさと料理フェア

 伊予市では昭和63年(1988年)7月、市教育委員会の呼びかけで、食生活改善とふるさと再発見事業の一環として、市内の連合婦人会、農漁協など6婦人団体の代表と専門指導員(伊予市農業改良普及所、保健センターなど)ら22人の委員で市ふるさと料理開発委員会が結成された。同委員会が中心となって、エソ・イワシ・タチウオ・タイなどの地元産の魚とレタス・ダイコン・ビワ・イヨカンなどの野菜、果物を使った新しい郷土料理50品を試作・開発した。平成元年(1989年)と同2年に試食会を行い、感想やアンケート調査を実施し、ご飯・おかず・汁物・漬物・菓子・飲み物の6部門17品目をふるさと料理に選定した。平成3年3月には、市中央公民館で、地域住民ら約100人が参加して発表会が開催され、試食と作り方の披露が行われた。オレンジジュース・魚そぼろ・ちりめんを使ったごしきずし、ハギの甘酢和(あ)え、サバとうの花(はな)和え、レタスとタコのからし酢味噌(みそ)和え、つみれ汁、ビワのフレッシュサワー、ダイコンの焼き酢漬け、みかん餅(もち)など華やかな彩りの料理が参加者の人気を呼んだが、中でも、ダイズといりこの仲良し揚げは、児童の生育にもってこいの料理と母親らに好評だったという(⑳)。
 この取り組みをきっかけに、伊予市女性団体連絡協議会と伊予市教育委員会が主催して、平成4年から毎年11月に開催している催しが「伊予のふるさと料理フェア」(写真1-2-8参照)である。その目的は、郷土の産物を素材とし、創作したふるさと料理を普及することにより、市民の食文化を豊かにし、ふるさと意識を高めるとともに、健康作りの大切さを実感し、こころ豊かな町づくりを推進することにあるという。この催しは、ふるさと料理10品程度を味わう試食会とごしきずしや若草餅(もち)、その食材などを販売するふるさと料理即売会、フリーマーケット、試食したふるさと料理のメニューと作り方を紹介したふるさと料理パンフレットの配布という内容で実施されている。「伊予のふるさと料理フェア」について、同会会長の**さん(伊予市上吾川 昭和17年生まれ)に話を聞いた。
 「昭和63年からの取り組みと、平成5年(1993年)に愛媛県で開催された『全国豊かな海づくり大会』へ女性団体の参加協力が求められたこともあって、平成4年に伊予市女性団体連絡協議会が結成されました。その年から、私たちはふるさと料理フェアに取り組んでいます。メニューは各団体の役員さんとの話し合いの中で毎年変えていますが、レタスの酢味噌和え・さわやか漬け・若草餅、ごしきずし・ミックス大豆飯・まぜご飯風のたい飯などは定番となっています。
 以前は200食分、昨年からは300食分の料理を準備していますが、2時間足らずで品切れになります。試食会ですので、女性団体の当番の人が各料理を少しずつ取り分け、一人分をトレーに入れて食べてもらっていますが、開場前から並んでいる人もいてすぐになくなってしまいます。現在7団体が活動していますので、各団体2品程度を分担し、2、3日前から買出しや下ごしらえを行っています。
 どの料理も皆さん『おいしい、おいしい。』といって食べてくれますが、中でも伊予市特産のレタスと海の幸のイカやタコを酢味噌で和えたレタスの酢味噌和えは好評です。この料理には、レタスを市場に出荷する際に取り除く最も外側の青葉を使っています。青葉は、栄養価も高く、歯ごたえもあり、和え物にしても彩りよく作ることができます。中の葉は、生野菜としてサラダなどに使えますから、無駄のないおいしい料理です。
 また、油で揚げ味付けしたダイズをちりめんやニンジン、コーンなどと一緒に醬油(しょうゆ)を加えて炊いたミックス大豆飯も、おいしくて栄養バランスのいい料理です。試食会には小さな子どもさんを連れた若いお母さんもたくさん来てくれます。パンフレットも配っていますので、ぜひ家庭で作ってほしいと願っています。」
 伊予市女性団体連絡協議会は、ふるさと料理フェアのほか、花まつりなどの際にもバザーを開設し、郷土料理の普及を図っている。ただ、若い会員の参加が少なく、後継者をどう育成するかが今後の課題であるという。会長の**さんに、郷土料理についての思いを聞いた。
 「昭和63年(1988年)のふるさと料理開発委員会では、私は母から習ったコヤマメ(ソラマメ)のふくめ煮を作りました。乾燥して少し固くなったコヤマメを使って、お正月やお節句、お祭りなどに母がよく作ってくれました。それを開発委員会に提案すると好評でした。
 このような昔から伝えられてきた煮物とか、白和えなどのおふくろの味といわれる料理は、今の若い人も喜んで食べてくれます。でも、皮をむくとかあくを取るとか、手間のかかる作業を面倒がって自分たちで作ろうとはしません。若い人は、きれいに包装され、すぐ調理できるようになっているものが食材だと思っているようです。このままでは、郷土料理は無くなってしまうのではないかと心配しています。
 地物の食材を使用する郷土料理は、食の安全や栄養のバランスからみても優れていると思います。薬を飲むよりは、栄養バランスのとれた食事をとる方がはるかに健康にもいいと思います。食べに来ていただくだけでなく、私たちが創作した郷土料理をぜひ家庭で作って食べてほしいと願っています。」

 ウ 旬を愛する会

 郷土料理研究グループ・大洲(おおず)市の旬(しゅん)を愛する会では、春先にはまめいり(ひなまめ)、秋にはいもたきセットを、郵便局を通じて全国に発送するなど、郷土料理を活用した町おこし活動を続けている。
 同会の設立の経緯について、会長の**さん(大洲市柚木(ゆのき) 昭和13年生まれ)に話を聞いた。
 「昭和57年(1982年)7月、当時の市長さんの『まちづくりは市民総参加で展開しなければならない。』との呼びかけで大洲市を考える100人委員会ができました。私は料理することが好きでしたので、地域おこし・まちづくり運動の中で、女性ができることとして、郷土料理を中心にした活動をやってみようと考え、翌年4月、7人の主婦で旬を愛する会を作りました。当時からトマトやキュウリがスーパーにいけば年中あるという状態で、旬がわからなくなっていましたので、会の名前は旬を大切にしたいという思いを込めて付けました。」
 普通の主婦7人の集まりであった旬を愛する会は、十夜ヶ橋(とよがはし)大師堂でお大師餅(もち)と名付けたよもぎ餅を売ることからその活動を始めた。この試みは評判がよく盛況であったので、これ以降大洲市の各種イベントへの参加要請が来るようになり、その都度よもぎ餅や山菜おこわなど手づくりの故郷(ふるさと)の味で、バザーを行うようになったという。たまたま、バザーで隣合せた郵便局の人との会話の中で、「大洲の子どもたちに手づくりの菓子を食べさせたい。」という話をすると、「**さん、大洲の子どもたちだけじゃなくて、日本中の子どもに手づくりのものを食べさせようや。」という話になり、昭和63年(1988年)から、まめいりゆうパックを始めることになったという。
 まめいりゆうパックへの思いやその反響について、**さんに話を聞いた。
 「このお菓子は、愛媛全体ではひなまめといいますが、ここらではまめいりと呼びます。私も農家の出身ですので、昔、母と一緒によく作っていました。お米を蒸して干したものを炒(い)って、サツマイモから作った水飴(あめ)をまぶして作ります。水飴はサツマイモの中に麦芽(大麦を発酵させたもの)を入れて作っていました。母からは、『町に住んでいた人たちにはお米が貴重品だったので、お釜(かま)を洗うときに底に残ったご飯粒を集めて乾燥させて作っていた。』という話も聞きました。飽食の時代だからこそ、こういった昔の素朴なお菓子が故郷を離れている人たちに受け入れられるのではと思いました。
 まめいりゆうパックの中には、子どもたちは昔の味を喜ばないだろうと思って、まめいりのほかにクッキーも入れています。また、ひな祭りにちなんで甘酒、そして大洲がかつてはカイコで栄えた所というのを知って欲しいので、繭(まゆ)から作った桃の花も一緒に入れています。故郷のことを思い浮かべながら、家族一緒に食べて欲しいという願いを込めてセットにして発送しています。
 まめいりは、70歳以上の男性が母の味、故郷の味がすると懐かしんで食べてくれます。中には、『大正の味 亡き母を偲(しの)び 老いの目に涙』という歌を添えた礼状が送られてきたこともあります。この手紙を見た時には、『しんどいけど、やめたらいかんな。』とみんなで話しました。」
 まめいりが予想以上の反響だったので、平成元年(1989年)から大洲の郷土料理いもたきの材料セットをゆうパックで発送している。セットの中には、皮をむいた特産のサトイモや油揚げ、シイタケ、こんにゃく、鶏肉、白玉団子(だんご)などの具材と鶏(とり)がらから取ったスープが入っており、鍋(なべ)で煮込めばすぐに食べられるようになっている。
 いもたきセットの取り組みについて、**さんに話を聞いた。
 「大洲のいもたきは、藩政時代から伝わる親睦融和(しんぼくゆうわ)を目的とした『おこもり』の風習を、昭和41年(1966年)から観光事業化したのが始まりです。まめいりの次に何をするかを考えていたころ、肱川河原での観光いもたきが盛んになっていましたので、古くからの郷土料理いもたきをぜひ全国に広めたいと思いました。それも今の時代に合わせて、温めたらすぐ食べられるものがいいんじゃないかと考えました。
 ところが、サトイモは腐りやすいので、いろいろ悩んだ末に、手間はかかりますが、昔ながらの方法で皮を手で剥(は)いで、塩でもみ洗いしてぬめりを取り、ゆでたものを入れています。また、白玉団子を入れることにしたのは、『月明(あ)かりで食べると、大洲のイモは、団子かと間違うほど柔らかくておいしかった。』という話を再現できればいいなと思ったからです。
 スープは鶏がらから取っていますが、8時間ほどかかります。材料となる鶏がらも、ブロイラーの骨を煮込むとスープが濁ってきますので、地元で飼っているニワトリの骨を使っています。昔は、家々にニワトリを飼っていましたから、食べる時には、かわいそうだなと思いながらも絞め殺して食べていました。ここらでは、いもたきの肉というのはやっぱり鶏肉です。
 発送するまでの手間とか、詰めるべきものが入っていなかった時の苦情とか大変なこともありますが、お礼の手紙をいただいたり、『これからもぜひ続けてください。』といった電話がかかってくることもあり、人と人とのつながりを実感できて、うれしいことのほうが多いように思います。『大洲の郷土料理いもたきを日本一にしよう。』を合言葉にがんばっています。」
 このような町おこし活動を続けてきた旬(しゅん)を愛する会は、高速道路が宇和町まで延伸することや南予地域を中心に開かれる観光イベント「えひめ町並博2004」を盛り上げるために、平成15年8月、郷土料理を味わう店を開いた。ここでは、焼き魚のすり身と麦味噌(みそ)をだしでといてご飯にかけるさつまを、魚の代わりに牛肉を使って若者向けにアレンジし提供している(写真1-2-9参照)。また、大洲のサトイモを夏でも味わってもらうために、白玉団子とともに冷やしたぜんざいに入れてメニューとしている。
 この取り組みや郷土料理についての思いを**さんに聞いた。
 「大洲のいもたきを一年中食べられる店をと考えたのですが、暑い時にはいもたきは食べにくいので、サトイモのいろいろな食べ方を紹介するために、ぜんざいに入れてみました。
 牛肉のさつまは郷土料理じゃないという人もいますが、今の若い人にとっては、昔ながらの郷土料理は、精進料理のイメージなのではと思います。まず、食べてもらわないことには、何が郷土料理かもわからないのではと思って、今風にアレンジして牛肉を使っています。
 味噌と牛肉は意外にも合うようで、近所のおばあちゃんたちに試食してもらった時も好評でした。肉が苦手な人や魚のさつまをという人には、普通のさつまを食べてもらっています。
 昔の人は科学的には知らなかったと思いますが、伝えられてきた郷土料理は栄養的にはちゃんとバランスが取れていると思います。いもたきは野菜が少ないので、ここらではタコやワカメ、ちりめんなどを入れたキュウリの酢の物を添えて一緒に食べます。このような生活の知恵が詰まっている郷土料理を、ぜひ伝えていきたいと思います。」

写真1-2-8 「伊予のふるさと料理フェア」会場風景

写真1-2-8 「伊予のふるさと料理フェア」会場風景

伊予市米湊。平成15年11月撮影

写真1-2-9 牛肉のさつま

写真1-2-9 牛肉のさつま

大洲市大洲。平成15年10月撮影