はじめに

　この報告書は、愛媛広域文化交流基盤整備構想委員会の提言により、愛媛県県民環境部県民交流課が行う遍路文化調査研究事業として、「遍路文化の学術整理」を実施した成果をとりまとめたものです。
　四国で生まれ、長い歴史の中で培われてきた遍路文化は、世界的な文化遺産として価値のあるものです。この遍路文化が四国で生まれ、多くの人々に受け継がれてきたのはなぜでしょうか。人々がいまなお遍路に魅せられるのはなぜでしょうか。一体、四国特有の遍路文化とは何でしょうか。これらの疑問を解明し、さらにこの遍路文化を広く内外に発信し、普及するため、「遍路文化の学術整理」を実施しました。
　そのために、遍路文化を歴史、風土・伝説伝承、習俗の３つの視点から平成12年度から３か年計画で学術整理を行うこととし、その方法として、遍路の文献調査・実踏調査を行うとともに、遍路への人々の思いを明らかにするための聞き取り調査も行うこととしました。
　本年度（平成13年度）は、「伊予の遍路道」というテーマのもと、愛媛県内の主な遍路道（昭和20年以前）を探り、各地域の遍路にかかわる風上や伝説伝承などの遍路文化を考察しました。
　今日静かな遍路ブームが訪れているといわれますが、本報告書が今後の遍路文化の理解・発展に、いささかなりともお役に立てれば幸いと存じます。
　終わりになりましたが、聞き取り調査や現地調査にご協力いただいた方々や関係諸団体に対し厚くお礼を申し上げます。

　平成14年３月

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　愛媛県生涯学習センター