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えひめ、昭和の記憶 ふるさとのくらしと産業11-鬼北町-(平成28年度「ふるさと愛媛学」普及推進事業)

第1章 昭和の町並みをたどる

 鬼北(きほく)町は愛媛県の南西部に位置し、東は高知県、西は宇和島(うわじま)市、南は松野(まつの)町、北は西予(せいよ)市に接しており、面積241.87km²のうち林野が84.8%を占める典型的な中山間地であり、平成17年(2005年)に旧広見(ひろみ)町と旧日吉(ひよし)村が合併して誕生した(図表1-1-1参照)。清流四万十(しまんと)川の最大の支流である広見川や足摺(あしずり)宇和海国立公園に指定されている成川(なるかわ)渓谷など、豊かな自然を中心とした観光資源に恵まれ、これらの自然景観や特産品を活用した宿泊施設や道の駅、温泉、公園、観光農園等を整備し、地域間交流の促進と経済の活性化に大きな成果を上げている。
 交通網としては町内を国道320号が縦貫しており、これに交わる形で鬼北町の中心地から南方向に松野町を通り高知県へ抜ける国道381号が、北方向に西予市・大洲(おおず)市方面への国道441号がそれぞれ延びている。また、八幡浜(やわたはま)市・大洲市から西予市を通る国道197号が町内北部を抜け、高知県須崎(すさき)市方面につながっている。これらの幹線道路を通して、鬼北町は南予地域と高知県主要都市を結ぶ結節点としての役割も有している。
 本章では、旧日吉村の政治・経済・文化の中心であった下鍵山(しもかぎやま)「幸田町(こうだまち)」と、鬼北盆地の中心という地理的条件と交通路の発達によって旧広見町の中心集落となった近永(ちかなが)地区を取り上げ、それらの昭和30年代の町並みについてまとめるとともに、当時のくらしの一端を明らかにした。


図表1-1-1 鬼北町の位置

図表1-1-1 鬼北町の位置

『平成26年度版愛媛県市町要覧』巻末地図から作成。