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瀬戸内の島々の生活文化(平成3年度)

(2)名駒(なごま)のコミカン(越智郡吉海町名駒)

 吉海町名駒地区の大島自然研究路の入り口にあたるミカン園の一角に生育している。上浦町の「盛口のコミカン」とともにコミカンの代表的な古木として、県指定天然記念物になっている。
 中央に親株があり、四方に伸びた枝が地上に降りて根を張り、そこから子株が10本ほど独立している。いずれも樹勢は旺盛で、毎年、たくさんのミカンを実らせている。温州ミカンと同様に美味しく十分食用になるが、実が小さいのでもっぱら正月の締め飾りや鏡餅の飾りとして少量出荷されているようだ。古くは、お葉付きミカンとかナゴマミカンとして有名だった。
 このコミカンは、葉は長さ5~7cmで長卵形、葉縁は全縁か波状鋸歯、葉柄には翼があり、果実は扁球形で直径30~40mmである。中国の長江河岸、温州以北が原産地であり、我が国にはかなり古い時代に持ち込まれている。今日のように温州ミカンが隆昌を見る以前は、紀州ミカンとして広く栽培されていた。現在では、コミカンの栽培はなくなったが、ごくわずかに古株が残っている。

写真2-3-2 名駒のコミカン

写真2-3-2 名駒のコミカン

平成2年12月撮影