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瀬戸内の島々の生活文化(平成3年度)

3 調査結果の要約

 調査結果をもとに島々の特質を要約すると、次の点が挙げられる。

(1)地域レベル

 〇 地域のイメージは、「美しい、穏やか、明るい、自然」などのプラスのイメージが強いが、「狭い、古い、不便」などの
  マイナス面も見られる。
 〇 色に例えた島々の印象は、「緑色、青色、水色、だいだい色」の4色が上位を占め、これまでの「愛媛の色=だいだい
  色」と比べると多様であり、「瀬戸内の青い海に浮かぶ緑豊かな島々」という印象が強いようだ。
 〇 これら2つの傾向は島内版・島外版に共通し、島々の特質を象微していると言える。
 〇 県人意識について県全体対象の他の調査と比較すると、「愛媛県人」意識は相対的に低く、県境に位置し生活面でも他県
  に依存している地域性が反映していると思われる。
 〇 島に暮らす人々の気質の印象は、全体的に南予人気質と呼ばれているものに近い。
 〇 島外の人から見た島の人々は「あたたかい、親しみやすい、粘り強い、明るい」などの好印象を持っている反面、「地
  味、後進的、野暮ったい、古めかしい」などのマイナス面も併せ持っていることがわかる。
 〇 「地域の住みよさ」と「地域の魅力」に対する意識には相互に関連があり、全体として高年齢層ほどよく思っている。
  ただし、各町村間には大きな差異が見られる。
 〇 地域に関する満足度を見ると、「自然環境、地域の人間関係」には満足している反面、「交通、保健医療施設、教育文
  化施設」には不満を感じている。

(2)家庭レベル

 〇 「暮らし向き」に対する意識は、過去・現在・将来を通して大半の人が「普通」以上のよい意識を持っているが、約
  30%は今と比べて将来苦しくなる(やや苦しくなるも含む)と感じており、島の将来の生活を必ずしも楽観的に感じては
  いないようだ。
 〇 行政への要望では半数の人が「社会福祉・老人対策」を上げており、「地域の開発」、「物価・暮らし向き対策」、「生
  活環境(公園、緑地等)」等の現在の生活に関すること以上に、老後の生活への不安がにじみ出ている。
 〇 老人世代と若い世代との同居については9割近くが肯定的で、過疎化・高齢化の深刻な地域ゆえか、回答者の半数以上の
  家では両方の世代がいっしょに生活している。
 〇 家庭に関する満足度をみると、「家庭の人間関係、住宅、生活全般」には満足している反面、「収入」には不満を感じ
  ている。

(3)個人レベル

 〇 個人の生き方はおおむね愛媛県全体の県民意識と似ており、伝統や習慣を重んじる保守的傾向が強く個性の重視は低い。
  勤勉であるとともに、物より心の豊かさを重視するほか、家庭内コミュニケーションを大切にし、教育熱心で学歴重視の
  傾向がある。
 〇 個人に関する満足度をみると「健康状態」には満足している反面、「余暇」にはあまり満足していない。