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瀬戸内の島々の生活文化(平成3年度)

(5)睦月の現状と今後

 睦月の現在における人口ピラミッドを昭和40年(1965年)と比較すると、人口が半減し急激な老齢化が進んでいることがわかる。65歳以上の高齢者比率は31.6%で、中島町の平均21.1%、愛媛県の平均12.9%と比べても著しく高い。
 図3-3-28の産業別就業人口を、中島町の中心集落である大浦地区と比較して見ると、睦月の「農業」従事者の比率が非常に高いことがわかる。逆に「小売金融」「サービス」の比率が低いことは、かつての行商全盛期から見れば今昔の感がある。島としての人口規模が違い、これといった観光資源や農業以外の産業が成立しにくい事情もある。主要産業としての農業においては(中島町役場資料より平成3年度においては)、耕地面積約140haの内、99.8%を樹園地が占め、柑橘栽培が村の経済を支えている。しかし柑橘価格の低迷と自由化問題、また高齢化・過疎化による労働者不足と、農業面でも種々の問題が存在している。今年度(平成3年9月)の台風19号の襲来で、睦月島は家屋・樹園地とも莫大な被害を受けた。
 現状を見ると睦月には解決を要する問題が山積している。しかし台風被害を考え中止することを前提とした我々の事前調査に、睦月の方々は明るく屈託ない笑顔で迎えて下さった。台風の被害に屈することなく、一時的にも島を離れようとする人は少ないということである。行商時代のエネルギーとバイタリティーは、今も睦月に残っているように思われる。困難な課題ではあるが、台風被害を乗り越え、睦月の方々が新たな再建の道を歩んでおられると信じている。

図3-3-28 睦月地区と大浦地区の職業別人口構成

図3-3-28 睦月地区と大浦地区の職業別人口構成

昭和60年国勢調査により作成。