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宇和島市

末広鉄腸(1849~1896)

 政治小説家。新聞記者。宇和島城下(現、宇和島市)出身。本名は重恭(しげやす)。宇和島藩の藩校・明倫館に学び、後にその教授に登用された。廃藩置県後は県の官吏となるが辞職して上京し、大蔵省十三等出仕となった。しかし翌年、官界に不満を持ったことから辞職して「東京曙新聞」の編集長となり、この年に公布された新聞紙条例を批判した罪で逮捕された。同条例初の違反者となり注目を集め、多くの人に支援を受けた。その後も問題記事による事件を起こしながらも屈することなく自由民権を積極的に唱え、政治運動に奔走するが、糖尿病を患い転地療養を余儀なくされた。その間、小説を通じて民衆の政治意識を高め、自由民権や政党政治を実現しようと、政治小説の執筆を始めた。生涯で20余編を刊行し、特に政治小説『雪中梅(せっちゅうばい)』などが広く読まれた。(『愛媛人物博物館~人物博物館展示の愛媛の偉人たち~』より)