データベース『えひめの記憶』

えひめの記憶 キーワード検索

伊方町

宇都宮誠集(1855~1907)

 夏柑栽培先覚者。宇和郡三崎浦松(現、伊方町)出身。大坂で学んだ後、32歳で郷里の郵便局長になり、業務の一環で貯金を勧めるため村内を回ってみたところ、農家がとても貧しいことに気付いた。
 誠集は、村民の安定した収入を目指して鉱山発掘や漁業の振興を試みたが失敗し、やはり確実なのは農業だと考えて日本各地を研究のため訪れ、旅先の兵庫県加古川で夏柑と出合った。早速、大阪近郊や山口県の萩から夏柑の苗木100本を購入し、自分の農園で栽培したところ、7、8年で立派な実がなった。日当たりと水はけが良く、暖かい気候の三崎は夏柑の栽培に適していると確信した誠集は、村民に栽培するよう説いて回り、郷土が豊かになるためにと訴えた誠集の情熱は、若い農家の心を動かし、若者たちが試作を始めた。その後は年を追って村内一円に、さらに佐田岬半島全域に夏柑の栽培が広がった。
 毎年2月、伊方町三崎の農協が主催して、誠集の「慰霊祭」が盛大に行われており、誠集は「夏柑の父」として多くの町民から感謝されている。(『愛媛人物博物館~人物博物館展示の愛媛の偉人たち~』より)

①宇都宮誠集翁果樹栽培彰功碑

①宇都宮誠集翁果樹栽培彰功碑

西宇和郡伊方町三崎(伝宗寺付近)