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東温市

小山九左衛門朝真(1801?~1856)

 下林の庄屋職にあること28年、その間下林村の水利改善に、あるいは生活の向上に誠心誠意ことにあたり、その治績は大いにあがった。
 特に弘化2年(1845)2月、左川(さこ)大池の構築にあたっては普請用係となり、組頭野中三太夫直助(宮の段)とともに数度の堤防決壊にもかかわらず難工事を竣工した。この大池は、重信川からの導水について田窪村外二ヵ村と水論の結果、下林・上村・津吉・中野の水源として郡普請で築造することになったのであるが、その水利紛争から大池築造まで地元の庄屋として筆舌につくせない苦労があった。佐川大池は、堤防の長さわずか50間(90m)にすぎないが、その面積約6町(5.7ha)にも及び、80町の田地を灌水してなお余りある貯水量をもつだけに、この完成は用水不足の下林村にとっては画期的な大事業であった。
 この大池竣工後まもない安政3年(1856)11月55歳で没したが、住民は彼を祭神として左川神社を建てた。また昭和35年には、改良区が大池竣工130年記念碑を建立して、その功をたたえた。(『重信町誌』より)

【追記】
 左川大池は佐古ダムとして造り直され(平成13年竣工)、その水は今も下林地区等の農業用水として活用されている。

①佐川谷大池竣工百三十年記念碑Ⅰ

①佐川谷大池竣工百三十年記念碑Ⅰ

東温市下林(佐古ダム南東、寺尾神社前)

②佐川谷大池竣工百三十年記念碑Ⅱ

②佐川谷大池竣工百三十年記念碑Ⅱ

東温市下林(佐古ダム南東、寺尾神社前)