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柳谷村誌

第五章 医療

 死の恐怖・生に対する危機は、われわれが抱く最大・最直接の感覚である。傷病はつねにそのかけ橋となっており、避けにくい経路となっている。われわれはこの苦からのがれようとする。医療が唯一の非常口として願望されるのである。古来、「医は仁術なり。」と叫ばれ、今日「医療保障は社会保障の最たるもの」とされる理由もうなづかれる。戦前の伝染病から、戦後は成人病・精神障碍・交通事故・自殺等々へと、疾病構造は急変した。化学療法・麻酔技術・大量輸血による外科技術の進歩等々と、医療技術は革新された。これらの変革は、医療制度の整備を、「保険」と「施設」の両翼から迫っていく。医療行財政の不協和が、今日の社会保障の重荷としてわれわれ自身に背負わされる。その対応の展開は「政治編」に譲り、以下わが村に在住し、医療の実際に当った医師・歯科医師について大要を述べる。