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柳谷村誌

第四章 信仰

 赤ん坊は、誕生して自分の小宇宙にくらしを始めると、「瞬き」して自己防衛・生活安全の第一歩を経験する。わが村の人々は、この柳谷の大地に種を播くと、そのゆたかな稔りを願い、翌年のくらしの安らぎを祈念した。これが信仰へのスタートではなかったか。信仰の相手方が、自然の具体物であれ、おのが心中の幻影であれ、自分のちからに限りあることを自覚するものが、より大いなるものに対して抱く、おのずからなる畏れ敬う祈りであったであろう。こうして、呼び合い群れ合って、その願いの中心となるものを求めたであろう。それがごく素朴ながら、祠や辻堂となり、くらしのひろば、自然のうちのひろばとして、大きく郷びらきのちからとなっていったと思う。