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柳谷村誌

第三節 通信・運輸

 人は、個体としての生存のために、物質・エネルギー・情報等々、たえまなくそれらを充たしてゆく必要に迫られている。しかし、自然は人間のこの必要に対して、適正に充たしてはくれない。更に、必要を充たすことに利用できる状況さえも、やがては退化したり、消失する宿命にある。ここに、およそ生あるものは、それ自身の責任において、必要なものを「はこぶ」というはたらきを強いられることとなる。
 「はこぶ」というはたらきにはつねに、広い意味での「道具」が必要条件である。そのうち「みち」は、最も一般的で、最も基盤的な道具であるといえよう。地上では、道路・橋梁・鉄路・隧道が、水上には、水路・航路が、空中では空路が、そして通信では、電路が、それぞれ欠くことのできない「道具」として、先行しているからである。
 克明に刻み出された山肌と谷すじでできているわが村では、いわゆるせまい意味の「地上に通ずる道」と、「郵便・電通・放送を主とした通信」が、「はこぶ」はたらきを担って、われわれのくらしの必要を充たしている。以下「通信」の項目で、郵便・電通・無線放送を取扱い、「運輸」の項目の下に、道路・運搬具を配して、わが村における物質・エネルギー・情報等の、はこび―かよい―ながれのすがたをのべる。