データベース『えひめの記憶』
美川村二十年誌
第三節 子どもの遊び
昔も今も遊びにあまり変わりはないが、男はたこ上げ、ぶちごま、ぱっちん、輪まわし、ランコン、女は手まりつき、かるたとり、はねつき等が主な遊びで、それもすべて手製のものであった。
手まり作りは、とうきびの毛(シャグマ又はシヤゴマ)をしんにして、白糸でかたく巻き、五色の絹糸で山道くぐりに糸を通し、六つ星の模様に刺しゅうしてできあがりである。
まりつき歌
ヒーヤ フーヤ ミーヤ ヨ
イッツヤ ムーヤ ナナツヤ
ヤッツヤ ココノヤ トー
とんとんたたくは 誰じゃいな
けさもはよから 福の神
えびす 大黒 べん天さん
おこったおかおの びしゃもんさん
頭の長い ふくろくじゅ
おひげの白いは じゅろうじん
おなかのふとい ほていさん
七福神は ななえびす
遊びにはその他お正月に、六、七人で針打ち遊びがよくおこなわれた。
みんなが半紙を出し合い、針に糸を通し、一〇㌢ぐらいに切ってこぶしを作り、口に針をくわえて、指先で糸の端を持ち、半紙をめがけてピンと打ちたてる。半紙にたっているところをそっと持ち上げて取り合うのである。危険なのと、針がへるのと、取り合うことはよくないというのでよく注意をされたが、室内遊びとして、よくしたものである。
子守り歌
明治時代には、貧しいこの地方では一〇才になると子守り奉公に出されたので、子守り歌がはやったという。
ねんねんころりよ おころりよ
お前よい子じゃ ねんねしな
あの山こえて 谷こえて
お山に咲いた 花取りに
つつじに つばきに ぼけの花
よい子のお前に みなあげよ
ねんねんしない子 わるい子じゃ
山の山うば こわいばば
ねんねんしなけりゃ くれてやる
ねんねんころりよ おころりよ
方 言
昔は方言も多かったが義務教育の徹底と都会との交流、ラジオ、テレビの普及で、あまり聞かれなくなった。現在でもよく使われる方言を少しあげてみよう。
ねんごろ(全部)・いんまよ(さよなら)・だんだん(ありがとう)・やれこりや(さっそく)・さいきよう(さしず)・かたぐ(だます)・まっこと(本当)・ほれこそ(それこそ)・せんち(便所)・しょんべ(放尿)・こっとい牛(雄牛)・だん馬(めす馬)・へっこい(しぶとい)・ねんだらくさい(めんどくさい)・へらこい(きも玉の大きい)・そんつらなこと(そんなこと)・どつらべらこい(おうちゃくな)・そげい(そんなに)・あげい(あんなに)・いけねや(いけません)など。
また方言のみでなく、高知県境にあるので土佐なまりが強い。語調が鼻にかかり、語尾に「の・が・け」がつく場合が多い。