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美川村二十年誌

二、虫供養

 明治末年まで行なわれた行事の一つに虫供養というのがあった。毎年田植がすむと部落民は朝から正泉寺に集まり、円形に座って大きな珠数を、順送りしながら「ナンマイダー」を唱える。又、暗くなると、五、六人の者が斉藤実盛のわら人形を作り、竹のかがり火をかざし、多くの者がかがり火を照らす中をくぐり抜け、下の川を渡り、八社神社の前の川へ人形を投げ込むのである。実盛は源氏の武将と一騎打をし、稲の刈り株につまづき、転んで首を討たれたという。そのため、実盛の霊が稲を恨み、稲を食う虫になったと言い伝えられ、豊作を祈願する祭事になったということである。