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美川村二十年誌

二、易者の墓

 寺橋(八幡橋)の上の丘に、安山岩で造られた易者の墓があります。もとは寺橋のたもとにあったものですが、道路拡張で現在地へ移転したものです。香川県高松生れの行者、順次信国という人が、旅の途中有枝に立寄り、村人たちのもてなしを受けたことに感激し、人情厚い有枝の地で一生を送ることを決意したのです。この行者さん、易を見ることに秀でていたので、村人たちは易者さんと呼んでいました。あなたは、明日人からお菓子をもらいますよ、と言われれば必ず誰かが持って来、酒を持って来るといえば、誰かが持って来、不吉なことがあるからといえば、不吉な事が起こるという具合です。不吉な事が起ると言われた人は、一日家の中にいて難をのがれるようにしていたのです。易を見てもらった村人たちは、酒の好きな易者のためにかならず豆腐と酒を持ってお礼に行っていました。今でもイボトリの墓としてあがめられ、豆腐を供えてお祈りすればイボが取れると言われています。