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美川村二十年誌

九、行政相談委員制度

 行政は国民全体の福祉の向上を目的として行なわれており、この行政を通じて個々人の生活の向上を図るというのが民主主義国家の建前である。しかし、行政はとかく取扱いが一般的・画一的になりがちであって個々の具体的な問題に適合しないことがあり、そのようなところに行政に対する苦情や不満が起るのである。役所の行なう仕事が国民の福祉の向上に役立つよう、公正かつ能率的に行なわれているかどうかを監察して行政の民主化・能率化を図るほか、行政についての苦情を受け付けて解決を図るとともに、それらの苦情の背景・原因等を分析して反省資料として活用し、行政全般の改善に役立てていくことをねらいとして行政相談委員制度が設けられたのである。
 生い立ちは、昭和二三年七月に行政管理庁が設置され、全国に出先機関として管区行政監察局を置き、本県には愛媛行政監察局が設置され、三〇年に行政相談制度が発足し、その後三六年七月に行政相談委員の制度が取り入れられ、県下各市町村に行政管理庁長官の委嘱により相談委員が置かれた。当時は行政苦情協力委員と呼んでいたが三七年九月から行政相談委員と呼ぶようになり、四一年制定の行政相談委員法により確立されたのである。本村には初代委員として三八年に土居通栄が就任し、以来四八年三月任期満了に伴ない辞職するまで一〇年間の永きにわたって使命達成に尽した。その後任は、坂本素行がとして挙げられた。行政相談の制度は以上のような意味からも国民と行政にたずさわる者の間のパイプ役として大きな意義をもっているのである。