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美川村二十年誌

五、岩陰遺跡の謎

 こんな大昔に、こんなに長期にわたってこの遺跡になぜ人類が住みついたのであろうか。こうした疑問は誰でも持つと思うが、江坂助教授は次のように説明している。
 繩文人はイノシシやシカの肉を珍重した。これらの動物はナラ・クヌギの実や若芽を好物とする。人間も、クリ・ナラ・クヌギ・トチ・ムクなどの実を食べた。こうした植物は暖い四国では、だいたい海抜四〇〇㍍以上の土地でないと野生しない。だから、イノシシやシカは好きな木の実の多い高地に住みついた。(遺跡の位置は三九七㍍)では上黒岩遺跡に永住したのはなぜだろうかを考えてみる。
 1、雨露を防ぐのに理想的な岩陰である。
 2、南向きで日当りがよい。
 3、すぐ下に川があり水の便利がよい。
 4、その川にはカワニナや魚がいくらでもとれる。
 それなのに、弥生時代になると遺物がないのはなぜだろう。米作りが伝わって、その点で便利な平坦地へ移動したのが、家を建てて好きな所で住めるようになって、岩陰の必要がなくなったのか。郷土美川の誇りである「上黒岩遺跡」についても、まだまだ研究し、なぜだろうと考えてみることは実に多いのである。