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美川村二十年誌

三、保存工事

1、排水工事
 第四次調査期間中に、調査をかね、地下四㍍に掘り下げ、三〇㌢のヒューム管を一六㍍埋設し、遺跡の排水を完了。
2、合成樹脂加工
 発掘された後は、地層がかなりはっきり出ている。どの地層から何が出たかが大切なのである。人類の住んでいた時代の地層は有機物がたまるので黒ずんでおり文化層といわれる。地層の切り口をそのままにしておくと、くずれたり荒されたりするので、四四年八月一一日から三日間、東京国立文化財研究所の岩崎博士・樋口技官を招請し、アクリル樹脂液を混合して噴霧器で吹きつけ固定した。
3、上屋建設及び整地工事
 鉄骨カラートタンの上屋を作り、周囲上部は金網張りとし、雨雪を防ぐと共に外来者に荒されぬ処置とした。なお遺跡の前繊の二面に石灰岩の石垣をきずき整地した。
4、収蔵庫の建設
 四五年一一月、文化庁野口調査官の視察を受け、四六年五月二七日付で待望の国指定史跡とされ、さらに四七年六月には愛媛県「文化の里」としての指定を受けたので、県教委と共に、文化庁に対し収蔵庫建設を要望し続けた結果、四八年度の補助対象となり、文化庁より二五〇万円、県より「文化の里」全事業補助として四五九万円を受け、収蔵庫と付属便所で工費一〇〇〇万円。高殿建設施工。鉄筋コンクリート平家建、南北一一㍍東西九㍍、庫内は中央と周囲三方に陳列ケースを配置し、第四次発掘前の覚書にもとづき、慶応大学より出土品の返還を受けて陳列し、一般の参観に供することとなった。