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美川村二十年誌

三、造林の概況

 昭和二三年ごろ愛媛県としては荒廃した林野に対する造林の必要性を力説し、造林補助制度等を採用して大いに奨励に努めた。本村もこれに呼応し、この頃から人工植栽が急速に進み、特に昭和二七年頃から食糧事情の好転と木材需要の増大に伴う価格の高騰に刺激されて造林が大いに振った。                       
 昭和四八年においては本村の林野面積の八七%(一二、四八六㌶)のほとんどが人工林で杉と桧に覆われる迄になった。
 美川地方の植栽は、大半が短伐期の小丸太生産に重点をおいており、植付ける苗木は実生苗がほとんどで、一㌶当り植付苗木は約四,○○○本である。苗木は地元産八〇%、村外もの二〇%で、すべて森林組合を通じて値栽している。しかし近年は造林者の苗木に対する意欲的な要求もあって、品種改良、優良苗木特に挿木苗の植栽等が普及されつつある。
 植栽後一〇年ごろまで下刈、蔓切り、除伐、枝打ち等を行い、一五年生ころから保育的な間伐により収入をあげているが、二五年~三五年生で、皆伐するという経営が比較的多い。伐期はスギ、ヒノキの場合、春・秋の二期伐採が従来の慣行であったが、現在は搬出機材の高度化により、年間伐採によって早めに搬出するようになってきた。
 最近の年間素材生産量は、約一五,〇〇〇立方㍍と見込まれる。そのほとんどが村外に出荷されている。素材の大半は、山元の立木売りであるが、最近は正量取引による、森林組合の委託販売が増加している。
 以上は林業の概況に過ぎないが、林業の中枢機関としての森林組合はどの様な変遷を経たであろうか。またどのような活動を展開したであろうか、などについて述べてみたい。