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美川村二十年誌

三、農地法の改正

 この時期において、都市への人口流出は都市の地価高騰をひき起し、山村は過疎現象が目立ち、農地の山林転用が急期して自立農家の育成が困難となって来た。こうして四五年一〇月一日に農地法の改正となった。
 改正の目的を農地法第一条では次のようにうたっている。「この法律は農地はその耕作者みずからが所有することを最も適当であると認めて、耕作者の農地の取得を促進し、その権利を保護し、並びに土地の農業上の効率的な利用を図るためその利用関係を調整し、もって耕作者の地位の安定と農業生産力の増進を図ることを目的とする」となっており、以下主要事項は大略次のようであった。
 農地・採草放牧地の権利移動統制の変更 経営面積の上限制限を緩和し、取得後の経営面積がいくらになろうと農作業の常時従事であればよいとされたこと、また下限面積を引上げて農地取得後の面積が三〇㌃から五〇㌃以上に引上げられた。
 創設農地の貸付関係 農地改革やそれ以後国の自作農をつくる目的で買収したこの創設農地も、売渡後一〇年を経過していれば、許可をうけて売買・転用・貸付ができること人なり流動化の可能性を持たせることとした。
 通作距離等による取得制限これは最近、地価上昇やインフレの進行による「おもわく買い」農地取得を抑えようとするものである。
 農協による経営委託 今度の改正で、農協が組合員から一委託を受けて農業経営ができるようにした。
 農地保有合理化 幾業委員会は農業振興地域整術法によって農地移動の斡旋を行ない、規模拡大に方向づける活動をすることが定められた。委員会の斡旋による移動については譲渡所得税・不動産所得税・登録免許税を軽減することになった。
 農地移動の許可権限の農業委員会への移譲 艇地・採草放牧地については、すべて市町村農業委員会の許可制となった。
 小作地の所有制限の緩和 小作地の所有限度を一㌶とされていたものが所有制限を撤廃され、また一〇年以上所有していた農地については不在村地主が認められた。
 小作料統制の緩和 今まで存在している小作地については一筆毎の小作料統制がされていたが、改正法では貸借両者の相対で農業委員会の定める標準小作料を基準として自主的に定めてよいことになった。
 草地利用制度の創設 農地法には強制的に買収して売渡しする規定があったが、畜産振興等において市町村・農協等に限って草地として利用出来る制度が新たに設けられた。

農地等の所有権移転処理状況(農地法3条関係)

農地等の所有権移転処理状況(農地法3条関係)


30~48年度転用状況(4条関係)

30~48年度転用状況(4条関係)


30~48年度転用農地(所有権移転を伴う)処理状況(5条関係)

30~48年度転用農地(所有権移転を伴う)処理状況(5条関係)


30~48年度取得資金・維持資金貸付状況

30~48年度取得資金・維持資金貸付状況