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美川村二十年誌

一、土地利用の状況

 別表に見るように本村の耕地は水田二三七㌶、畑二七一㌶、一戸当り経営耕地面積は五〇㌃強の零細農であって、他は宅地・道路・河川・荒蕪地を除いて、すべて山林である。
 昭和三二年頃は主食としてのとうもろこし、現金収入源としてのみつまたの栽培等によって畑面積が大きかったが、主食が雑穀から米にかわり、みつまたは植林におされて、山畑の耕作は逐次減少するに至った。旧村別の経営体形は仕七川村と黒藤川村はおおむね畑作経営であり、弘形村と黒藤川村の沢渡部落は水田経営である。 本村の八五%を占める山林については、森林組合の項で述べるように私有林が比較的多いけれども、この私有の中には村外地主の所有にかかるものが約四〇%に当り、さらにこの傾向が強まりつつある事は憂慮すべき現象である。面積において、立地条件において本村経済の根源は山林にあると思われ、また山林の生産性の向上は林道網の整備、第二には伐採造材の機械化、第三には流通機構の改善にあるので、日毎に上昇する労務賃金対策のためにも林齢二〇年前後を大半とする現況からも、最重点施策としてこのことを推進すべきである。
 耕種農業においては、台風に襲われやすい地域であることから、自然に左右されることの少ない作目を選定すべきである。また農家である限り自給自足の態勢作りは必須要件と考えられるので、将来の世界の食糧危機に備えて、特に水田を潰廃すべきでないと思われる。
 現在、森林組合が主体となり、或は村が事業主体となって、公共林道、一般林道、林構林道など国の施策と相まって林道網開設整備に重点を指向しているし、農業においても労働力不足と生産コストの引下げのため農道が各所に開設されているが、今後さらに格段の尽力が望まれる。

年度別経営状況調

年度別経営状況調