データベース『えひめの記憶』
美川村二十年誌
二、植 物
岩屋山から石鎚・大川嶺にかけては、愛媛の植物の宝庫といわれるだけに、その種類は多く、あげれば際限がない。その珍しいものに限っていえば、岩屋山のトチノキ・スギ・ヒノキ・カシの大木、その樹下に群生するイワヤシダ・イヨクジヤクなどのシダ類にトサノミツバツツジ、また、岩壁に着生するウチョウラン・セキコクなどのラン類かおる。また、御三戸付近では、石灰岩にキンモウワラビ・イヌトウキ、河原にはカワラハンノキを見ることができる。
四国カルスト県立自然公園の一部である大川嶺では、コメツツジ・ハリモミ・イブキトラノオ・ドウダンツツジなど。中津明神から赤蔵力池にかけては、コメツツジ・オキナグサ・アカモノなどと、ヌエ退治の伝説にまつわる矢竹と赤蔵池のジュンサイかおる。
美川の森林のほとんどは、スギ・ヒノキであるが、ナラ・クヌギ・クリ・ケヤキ・カシ・カエデ・ブナなどの雑木に混ってマツがある。
農作物では、休耕田がふえ、生産量が少なくなったとはいえ水稲を第一にあげなければならない。その他には、大豆・小豆・トウモロコシ・ソバ・アワ・コキビ・馬鈴薯・甘藷などである。
工芸作物の茶・タバコ・桑園がふえる反面ミツマタ・ノリの減少が目立ってきた。
明神山や大川嶺の谷間に自生するワサビとササユリも珍重がられ、ウドやワラビと共に初夏の山に人々をさそっている。