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面河村誌

第三章 ふるさと祭り

 この面河村で、愛着を持つ行事、あるいは村の伝統とは何か、これからの産業開発は、農村文化とは何か、ふるさと祭りは、これらを模索するためでもある。
 高度経済成長期から、人口の村外流出、村内産業の変革など、あわただしいこの十有余年間、今静かに、この郷土を、振り返ってみよう。
 「見なおそう わがふるさと 面河村」これが面河村、面河村公民館などの共催で、昭和五十三年十一月二十三日開催された第一回面河村ふるさと祭りのスローガンである。
 「心の豊かさを求めて、生活にうるおいのある文化活動が進められ、ふるさとの文化・伝統芸能を継承保存し、さらに、文化作品を創造発表することによって、我がふるさとのよさを見直し、連帯感を高め、豊かなコミュニティー、村づくりを進めたい。」以上がその基本方針として、うたわれている。
 面河村住民センター大ホールの開会行事に、満堂の村民に対して、面河村長中川鬼子太郎は、次のように述べている。 
  高度経済成長期から低成長時代に移った今日、村を出て行った人々 にも、ふるさと志向のきざしが見えつつある。残った人々も、わが面河の自然と歴史をふり返り、伝統文化のよさを探り、将来のわが村独特の産業の開発・農村文化の向上と更に自立と連帯という意識を根底において、新しい村づくりに協力いただきたい。
  なお、こうした催しを、村民交流の場として、せめてこの一日をなごやかに過されたい。
 住民センター、役場広場の会場には、村政のパネル・古木・書画・焼物創作品の展示・活花・写真・手芸品・みがき丸太・盆栽・野菜・不用品の即売なども行われ、ふるさと料理の売店も設けられた。
 なお、それぞれの出品に対して、審査を行い、盆栽部門の菅茂盛(若山)以下、多数の者に賞状が贈られた。
 住民センター大ホールでは、郷土芸能発表会・万才・獅子舞・民謡・舞踊・詩吟・扇舞などが、天狗連中によって、次々にひろうされ、拍手と爆笑の渦、演ずる者も、見る者も、子供から大人に至るまで、みんな一体となって熱気がただよった。
 この日、集まった人々約五〇〇人、天高く秋の快晴に恵まれ、連山の紅葉一段と映え、白亜の役場庁舎・住民センターの建物とのコントラストが、すばらしかった。
 このにぎにぎしさの中には、過疎を忘れ、自然美豊かに、情緒あふれる「ふるさと志向」を一段と高め、この郷土面河の未来に、何物かを探し求めようとする血潮が、意欲が、みなぎっているようにみえた。