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面河村誌

四 石鎚スカイラインの効果と今後の展望

 五年間にわたる難工事は二名の尊い犠牲はあったもののみごとに完了した。関門から急坂を五、六時間かけて登山した石鎚も、現在では車を利用して土小屋まで三〇分余りで行くことができる。
 老若男女を問わず、シーズンともなれば、貸切バス・自家用車の列である。
 賛否両論、こうした工事には賛成あり、反対あり、観光開発と森林資源の開発につながると双手を挙げて賛成する者もあれば、当然、自然破壊だとする反対組もいた。
 昭和四十六年十一月、全国自然保護連合会は「石鎚スカイライン建設の際、自然環境の保全を全く考えないで切り取った土砂を谷間に投下して面河渓谷美を荒らし、ガケ崩れを起こし、原生林・野鳥の生育地も破壊した。」として白石春樹知事を告発した。
 その後、台風など大雨の時には山崩れもあったが、県当局においても補強・改修工事を進め今日に至っている。
 一時期を画してみれば自然は破壊されたかもしれない。反面開発に連なる一面も否定できない。面河村にとってみると売店・宿泊施設などの公営施設は黒字経営であり、本村の財政にプラスしているばかりでなく、住民に働く場を与えてくれた。
 長期的展望に立った場合、本村にとっては石鎚スカイラインは面河ダムとともに、面河村としての進めべき道を開いてくれたといっても過言ではあるまい。
 ともかくスカイライン開通以来九年、年に車の乗り入れと登山者は増加している。
 昭和四十五年九月から昭和五十三年までの乗り入れ台数は次のとおりである。
  普通乗用車 三四万二一五七台
  乗合バス 二万〇二〇四台
  (貸切バス)
  軽自動車 六万一七四三台
 この九年間に面河及び石鎚スカイラインに推定約二五六万人が訪れたことになる。
 工事中も、また開通後も種々の問題を起こした石鎚スカイラインではあるが、実にすばらしい観光コースである。
 春の新緑・春から夏にかけてのアケボノつつじ・しゃくなげの群生・ウグイスなどの野鳥のさえずり・川面にはアメノウオ・イワナなど、さらに霧の中に見え隠れする雄大な石鎚連峰を見ながら原生林の中を登山する快適さ、やはり四国の屋根石鎚と面河の観光ルート、石鎚スカイラインである。