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面河村誌

(一九) 布引滝

 鎧岩から約三〇メートル上流右対岸にある。
 鎧岩などと同一形式の岩壁の縦の裂罅にできた滝で、ほぼ水平に走る節理と割目に鈍角を作って流れ、中途で少し方向を転じて流れ落ちる。高さ約四〇メートルである。この付近の渓谷はやや打ち開けた中にヨグラノキの大木・ヒノキ・イヌザクラなどの美しい樹相を呈する。(以上面河渓・石鎚山・探勝の栞による。八木繁一著、大面河観光協会発行)
 このような面河の景勝を郷土の芸能人、遠藤太次馬(明治二十年十二月二十四日、大味川、相ノ木に生まる)は次のような数え歌に詠んでいる。
面河景勝数え歌
作詞 作曲 遠 藤 太次馬
一ツトセ 広い日本で名も高い
      所は愛媛の面河渓
      名所古蹟は数知れず
 二ツトセ 降り積む面河の雪景色
      滝にも氷の柱たて
      見渡す限り銀世界
 三ツトセ 見かへり滝をば後に見て
      関門景色を眺めつつ
      空船橋を渡られる
 四ツトセ よろいの岩やかぶと岩
      お月岩とて名も高い
      もみじ石もこれ名勝
 五ツトセ 石鎚山をばいただいて
      参拝する人数知れず
      くさりにすがりてのぼられる
 六ツトセ 昔も今もかわりなく
      清き流れの五色川
      流れに泳ぐあめの魚
 七ツトセ なんと立派な亀腹に
      咲いたるつつじの美しさ
      炭酸水とて名も高い
 八ツトセ はちまき岩や想思渓
      おしどり橋を渡らせて
      パノラマ台にのぼりゆく
 九ツトセ 此所は名高いひつの底
      鉄砲石とて名も高い
      軍艦岩もこれ名勝
 十ツトセ 虎が滝やら御来光滝の
      落ち込む水のすばらしさ
      こまどり鳴くのも勇ましや
 このような風光明眉な観光地に年々観光客が増えその数は次のようになっている。
 なお昭和四十三年四月、明治百年記念行事の一つとして面河渓谷を中心とする地域に面河国民の森が設けられた。これは、高知営林局、松山営林署が管理する国有林で面河国民宿舎に行く橋の手前に「国民の森の碑」がある。