データベース『えひめの記憶』

えひめの記憶 キーワード検索

面河村誌

(一) 関 門

 梅抜約七六〇メートルにある関門は、深く切り立った狭谷でほとんど水平に並ぶ岩石の節理と、これを縦織に切る裂罅と両岸に道路面から約七〇メートルの絶壁を造り、各岩壁は正方形の岩塊を積み重ねたようで一奇観を呈し、節理の間は植物の着生に便利でヒノキ・コウヤマキ・ヒカゲツツジ・イロハモミジ・イワタバコなどが一面に生育している。今にも落ちそうな七〇メートルの絶壁は、岩石が皆黒黝色で、生ひ茂る老木は、日光の透過をさえぎり、昼なお暗く夏も肌寒いようでその崖下を流れる面河川の水は、透明度が高くて底の小石さへ透いて見えるほどの清流である。見つけの滝から関門橋まで一二七メートル。両岸の幅、最短六メートルから最長二五メートルに及んでいる。最深点の深さは、入口から第二裂罅の手前にあって六メートルである。最高点は、左岸にあって路面から約七三メートルある(遊歩道を基準)。面河渓の玄関、関門に立つ者は、その岩石の奇と水の清さと植物の鬱蒼としているのに驚嘆する。ヒノキ・コウヤマキ・ヒメシャラなどの木本天を覆い、仰いでわずかに一筋の青天を見るほどである。

面河国民の森案内図

面河国民の森案内図