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面河村誌

(四) 石鎚山

 石鎚山のいちばん下の基盤は、古生代三波川変成岩類の緑色片岩や黒色片岩である。この変成岩類の上に不整合に始新統(約四OOO万年前)久万層群(二名層・明神層)の礫岩・砂岩・頁岩などの堆積岩が乗っており、さらにその上に、いちばん新しい中新統(約二〇〇〇万年前)石鎚層群(高野火砕流・夜明峠変質安土岩類・天狗岳火砕流)の火山岩類が覆っている。
 これらの変成岩類や火山岩類は面河花崗岩類によって貫かれ、その接触部は、この変成岩類や火山岩類が、ホルンフェルスに変わっている。
 笹ヶ峰・手箱山などの山頂は緑色片岩からできているが、瓶ヶ森・子持権現・筒上山の礫岩は久万層群(二名層)のもので、礫や砂粒は変成岩類の破片ばかりである。
 シラザ峠・伊吹山・土小屋・成就社八丁坂は、久万層群(明神層)の砂岩や頁岩が分布し、土小屋付近からは、タイワンフウなどの植物化石が出ている。
 天狗岳・石鎚山・西冠岳・二の森・堂ヶ森などは、石鎚層群の天狗岳火砕流堆積物(黒雲母石英安山岩質溶結凝灰岩・凝灰角礫岩・凝灰岩など)から成り立っている。この天狗岳火砕流堆積物は上の地質図のように周囲を断層で断たれて直径約七キロの円形をなして分布しており、それ全体が落ち込んだ構造をし、昔の石鎚カルデラの下部の鍋状陥没(コールドロン)と考えられる。そして面河渓や鉄砲石川には、さきに述べた一四〇〇万年前ごろ貫入したと思われる白っぽい花崗岩類が分布し、古い火山の一つの中心を示している。鉄砲石川の谷では電気石が放射状に成長して葉状となった「紅葉石」が見られる。

石鎚火山の活動(中新世のころ)

石鎚火山の活動(中新世のころ)


カルデラ陥没後の現在の石鎚山

カルデラ陥没後の現在の石鎚山