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久万町誌

2 歳 出

 目的別歳出額を合併時の三四年度と三〇年後とを比較してみると九〇頁の表のとおりである。
 特に商工費、土木費、公債費、農林業費の伸びが著しい。伸び率の低い費目は、総務費、衛生費、教育費、議会費で二〇%台である。
 この表の構成比で主な費目をみると、総務費は三六、三七年は新庁舎建設、国有林買収等により六四・六%まで占めていたが、その後は減少し三〇年後は二〇・二%まで減少した。また教育費は二〇・五%から一二・三%まで減少している。逆に増加したのは農林業費の九・八%が二〇・五%、公債費の一・七%が一二・四%である。土木費は五・二%から五〇年代には一五~二○%にまで上外したが、その後徐々に減少し九・〇%に留まった。農林業費は、農業基盤整備、農林道整備等の増加、土木費は、道路橋りょう、下水排水等生活環境整備、公営住宅建設等の増によるものである。公債費の増は、これら投資的経費の財源を地方債に依存したためであり、年々増加の傾向にある。
 次に、性質別歳出額を合併時と三〇年後とを比較してみると特に、公債費(三二九・二)、普通建設事業費(一二七・〇)の伸びが著しい。反対に人件費、物件費、維持補修費等の伸びが低くなっている。経常的経費、投資的経費、その他の経費を構成比で表わしたのが九四頁の図である。経常的経費は合併当初は七〇%台と高くなっているが、その後は五○%前後で推移している。投資的経費は概ね四○%台で推移している。
 経常的経費(表の人件費、扶助費、公債費、物件費等)は、行政遂行上欠くべからざるもので、その性質上極めて弾力性に乏しい経費である。この経常的経費にあてられる一般財源の経常的一般財源に対す比率を経常収支比率といい、財政の弾力性を示す指数である。一般的に、七〇~八〇%が標準とされ、比率が低い場合は、その自治体の財政構造は弾力性があり、八〇%を大幅に超える自治体は、財政が硬直化しているといわれている。
 久万町の経常収支比率を表わしたのが次の図である。この図を見ると、三四年度から四三年の一〇年間は九〇%以上でかなり高い比率であり、財政が硬直化していたといえる。四四年度以降は、概ね八〇%で推移しており、弾力性が確保されたといえよう。
 次に、財源構造の健全性を表わす指標に公債費比率がある。投資的経費の財源として借入れた地方債(自治体の長期にわたる債務)が年々増加しているが、各年度末の残高で見ると五一年度以降急速に増加していることがよくわかる。この地方債の元利償還に要する経費を公債費といい、その経費の経常的一般財源に占める割合を公債費比率という。久万町の公債費比率の推移を図示したのが下図である。一般的に公債費比率が一五%を超えると黄信号、二〇%以上になると赤信号といわれているが、久万町は一二%前後で推移しているため、まず健全といえよう。しかし、地なるため、今後は計画的な活用が必要であろう。
 また今後は将来にわたって予想される大きな財政負担を軽減するため、特定目的の積立金(特定目的基金)、例えば、減債基金、校舎建設、庁舎建設等基金への積立金が必要であろう。
 昭和三四年合併以来、三〇年間努力によって、一度も赤字決算を計上することなく健全財政を維持することができたが、今後は多様化、複雑化、拡大化する行政需要に適格に対処するため、計画的な財政運営をはかり、より魅力ある、快適で住みよい町づくりを進めながら、健全財政を維持するために、更に努力を払わなければならない。

目的別歳出額の状況

目的別歳出額の状況


目的別歳出の伸び

目的別歳出の伸び


目的別歳出額の構成比

目的別歳出額の構成比


性質別歳出額の状況①

性質別歳出額の状況①


性質別歳出額の状況②

性質別歳出額の状況②


性質別歳出の伸び

性質別歳出の伸び


性質別経費の構成比

性質別経費の構成比


経常収支比率・公債比率の推移

経常収支比率・公債比率の推移


地方債残高の推移

地方債残高の推移