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久万町誌

3 観光リンゴ園

 久万町にリンゴを栽植したのは、昭和三三年に、高知県の池川町より千本ヶ原へ、竹森真一が苗木三〇本(阿波三号と早生旭の二種類)を持ち込んだことに始まる。竹森真一は高知県の池川町で二八年からリンゴの栽培をはじめたが、気候に適しないのか、とかくに思うような成果が得られなかった。いろいろと適地を探した結果、千本ヶ原に目をつけた。
 入植してリンゴの栽培をはじめたころは、久万でリンゴができたりするものかと、周囲の人々から冷たい目で見られていた。そのころ竹森の親戚が、土佐町でリンゴ栽培をしている伊藤という人物を紹介してきた。
 早速出向いて指導を受けた。そのころ土佐町のリンゴ農家で、台風の関係からリンゴを断念しようとする人がいた。その木を譲り受け、これも千本へ植え付けた。四〇年ごろのことである。
 以来、畑野川を中心にリンゴ栽培を志す人々が増え今日のように発展してきた。今では品種もずいぶんと改良され、喬木が矮化性のものとなり、観光客がリンゴ狩りを楽しむに適した高さの木となっている。
 五八年にリンゴ研究会が発足し、会員も多く、栽培面積も全体で約一〇㌶にも及ぶまでとなった。竹森英輔は父の意志を受け継ぎ、リンゴジャムやスライスして乾燥させた「チップリンゴ」等々、久万町リンゴ農家の先頭に立って、リンゴ研究会をリードしている。