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久万町誌

1 ふるさと旅行村

 農林省が進める農村整備事業の一環として、ふるさと旅行村が下畑野川に昭和五二年七月三〇日オープンした。この事業の中に「自然休養村事業」があり、その指定を四七年に受けて施工された。この事業は農林家の経営の向上と安定を図り、都市生活者に農林業の体験と休養の場を提供し、観光交流事業を進めることを目標にスタートした。
 その後、農村地域農業構造改善事業や中規模レクリェーション地区整備事業を導入すると共に、町自身も単独事業で事業を行うなどして、次第に拡大していった。
 昭和五七年には運輸省の援助を得て「家族旅行村」が建設されるようになり、五九年七月二七日にオープンした。この家族旅行村は、バンガローのような宿泊施設と共に、大型テントによる「テント村」、その炊飯設備から総合的なレクリェーション施設までと、大規模な施設である。
 ふるさと村が、この施設をもつことによって、古岩屋荘と共に、自然を生かした大型のレジャー施設ができた。
 古い茅葺きの民家や土蔵、天井に絵馬を持つ辻堂、山村資料館には農林業の生活を浮き彫りにする資料が、三〇〇〇点を越える膨大なものが収納、展示されるなど、久万町の昔の人々の生活を偲ばせるものとなっている。
 バンガローは木立ちの中にあり、一軒ずつ独立した家屋のようである。テントは二四張が夏の間、常設されており、家族ぐるみで楽しめるようになっている。いわば別荘気分が満喫できるというわけである。
 食事は釣堀で釣った川魚、きのこ園で採ったシイタケを、炭がまで焼いて作った炭火で焼くなど、都会では味わうことのできない手料理が楽しめるというわけである。グランドでは各種のスポーツが楽しめるし、トリムコースも備えており、各種の観光イベントも用意されている。
 リンゴ園は、シーズンになると「四国でリンゴ狩り」が楽しめるとは珍しいといって、多くの人でにぎわう。また、ぶどう狩りやなし狩り、いも掘りやとうきび狩りなども、ふるさと村の近くで楽しむことができる。
 ふるさと旅行村の観光事業は、久万町に大きな波及効果をもたらした。「久万観光農業生産組合」や「久万高原観光リンゴ研究会」「久万高原木彫会」などと数多くの組織が結成され、活発に活動している。また都市部との交流も盛んになり、高知市との交流をはじめ、消費者団体との交流やふるさと農園の開設などと多彩なものがある。昭和五九年からは関東や関西の修学旅行生も受け入れている。