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久万町誌

6 農村地域トータルライフ向上対策事業

 長寿社会に対応した新しい事業として、農林水産省は、農村地域の風土を生かし、快適な環境づくりと活力あるむらづくりを総合的に推進するために、昭和六一年度新規事業として、トータルライフ向上対策事業を発表し、愛媛県では久万町二名と伊予郡広田村を指定した。
 この事業は、指定を受けた農村地域が、地域の課題となる若者の減少や高齢化、就業機会の減少、低所得の問題などを出し合い、農村地域の活性化、農業の振興方策を、人、自然、資源、生活など総合的な村づくりビジョンづくり、ビジョンの実現に向けての拠点的施設づくりのソフト事業とハード事業を組み合わせた、高齢化に対応した新しい農村づくりのモデルとなる施策であった。
 二名地区では、宮成、森田の両組が中心となって、地区の実態調査を行い、現状を分析するなかで、集落ビジョン策定、地域の自然や資源の保全、いこいの広場、生活館建設、農園づくり、農産物の加工などに取り組むことになった。
 むらの快適条件の整備事業では、ゲートボール、レクリエーションの楽しめる「憩いの広場」五〇〇平方㍍の整備、地域農産物の加工品……とうふ、コンニャク、ジャムなど……が製造でき、木工体験もできる「宮森農村生活館」木造平家一三六・八六平方㍍を、小径路整備では幅員一㍍、長さ四六㍍、緑化樹六六本の整備などである。
 総事業費は、建物工事と備品購入費で一六七二万三〇〇〇円、路、水路、植樹費で二一四万七〇〇〇円の一八八七万円となる。
 宮森生活館では、久万高原市、林業まつり、愛媛県農林水産まつりなどには農産加工品や生鮮野菜を持ち寄り、出品販売している。
 高齢化の進んでいる地域ではあるが、水田の基盤整備も完了しており、夏秋野菜、特にトマトの団地化が推し進められており、今後非農家も含めた農村集落の活性化対策や文化活動、併設二名診療所を含めた新しい村づくりの拠点的施設として活用されるであろう。