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久万町誌

5 農家高齢者の創作館

 農林省では、年々増加する農村高齢者に対して、新しい生産と生活の場を造り、農村地域の資源を生かした創作活動を、組織的、継続的に進め、高齢者の生きがいを与える施設として「農家中高齢者生活開発パイロット事業」による創作活動施設設置事業を打ち出した。
 愛媛県内では宇和町に続いて二番目の事業として、昭和五二年六月に「久万町農家高齢者創作館」が久万町西明神三一五番地に建築された。
 総事業費 一八五〇万円 その財源内訳は、県補助金九一〇万円、町費九四〇万円となっている。
 敷地面積は五九八・八〇平方㍍、施設の概要は、
 延床面積 二四一・二九平方㍍
  作業室  七七・一六平方㍍
  展示室  一八・八四平方㍍
  加工室  二〇・七五平方㍍
  台 所  一六・五六平方㍍
  休憩室  一七・五六平方㍍
  保健室  一四・〇五平方㍍
  談話室  一〇・八一平方㍍
 久万町大字西明神の七組では共通の話し合いの場として集会所の建設計画を練っておったところであったため、農家高齢者創作館は、西明神地区総代を委員長として地元建設委員会を組織し、全面的協力により、田園の中に八角屋根のモダンな建物が完成した。
 久万町農家高齢者創作館の創草期の活動は、運営委員の話し合いから始まり、久万農業改良普及所長、普及員の連夜に及ぶ指導によって事業計画が立てられ、各農家で栽培し、持ち寄って加工、製品化へと繰り返しの努力が続けられた。
 建設初年度から教養部、農産加工部、木工部、手芸部、園芸部、芸能部と、六つの専門部を設け、それぞれの専門部が活動の方向を研究してきたところである。
 昭和五二年度の主な行事は、(四月)カンピョー配布、(六月)落成式、(七月)運営委員選任会議(組長会)、運営委員会、伊予三島市の視察、(八月)運営委員会、中予地区生活改善グループ交流会、愛媛県農業試験場視察研修、(九月)運営委員会、専門部長会、林業まつり参加、カンピョー製品つくり、スダレづくり講習会、(十一月)スダレづくり講習会、お正月用お飾りつくり、(十二月)お正月用お飾りつくり、(一、二月)スダレ作り、(三月)伊予ダケ刈り取り、運営委員会などである。
 その後特徴的な活動では、盆栽作り講習会、土曜夜市参加、カンピョー料理講習会、町外の役員、一般研修、創作館交流会、竹ホーキ作り、老人ホームとの交流会、三世代交流会、豆腐牛乳料理講習会、名月いもたき会、むしろ編み、竹加工講習会、西明神納涼の夕べ、ダンス講習会などがあり、最近はカラオケ教室も盛況で老若の交流が図られている。
 天然記念物となっている「イヨダケ」を素材としたスダレの製品は、この創作館の代表的な創作活動成果品として県内はもとより、京阪神、関東地方からも注文があり、実用品として、また、おみやげ品としての開発研究も行われている。