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久万町誌

3 新農業構造改善事業

 昭和五三年度に新しく打ち出された新農業構造改善事業は、今までに行われた生産条件の整備中心から、農村地域や農家自身の計画や要望を取り入れた、農家の生活環境全般の計画的な改善事業を行うものである。
 この事業は大きく分けて三つの事業となり、①町村を越えた広域改善事業、②農村地域(町村単位)改善事業、③地区再編(旧町村単位)改善事業に分けられ、五三年度から③の指定を受け西明神を中心に約三億円をかけて圃場整備二三・八㌶、連絡道巾員四㍍の七一二㍍、農機具格納二棟四二平方㍍、トラクター一台、集落センター一棟六三平方㍍の建設などの事業を行った。
 昭和五七年度から川瀬地区で進めている農村地域農業構造改善事業では、六三年までに区画整理、農用地造成、農産物加工施設、農産物集出荷施設、多目的研修集会施設、農道改良等の各種事業を実施し、計画に対する進歩率七九%で四億六六五○万七○○○円の事業を実施した。平成元年度事業完了の予定。
 ア 多目的研修集会施設「直瀬住民センター」
 昭和五八、九年度の新農業構造改善事業で建設した直瀬地区多目的研修集会施設は五九年一一月六日、直瀬甲二八八一の一に竣工した。
 この施設は、地域の農業の構造改善を図り、健康で活力ある人づくり、産物づくりの総合的、拠点的施設として建設されたものである。
 直瀬地区の多目的研修集会施設には、直瀬住民センター(一〇一五・六八平方㍍)のほか直瀬僻地診療所(二八二平方㍍)、久万農協直瀬支所(二〇六・〇一平方㍍)の合体施工で、農村地域の利便性、快適性から多目的機能を果たせることをねらっている。
 施設の内容は、敷地二九七〇・二五平方㍍、鉄筋コンクリート造二階建て一部鉄骨造りで建物面積九二四・九七平方㍍、延床面積一三八三・六九平方㍍となり、一階に事務室、創作研修室、老人研修室、農事相談室、後継者室、機械室、倉庫、ロビー、診療所診察室、処置室、薬局、待合室、農協支所の事務所、店舗、会議室があり、二階には多目的ホール、生活研修室、調理実習室、実習室、倉庫などがある。
 工事費は各施設ごとに分けると直瀬住民センター一億四二九九万六〇〇〇円、直瀬僻地診療所二五五五万円、久万農協直瀬支所三一六五万円となり、総事業費は、二億一九万六〇〇〇円になった。
 久万農協では、この施設の建設と同時に、新農福事業で農産物集出荷施設(鉄骨造スレート葺き二階建て二五六平方㍍)を昭和五九年度事業で整備した。そのほか直瀬支所給油施設(給油所、タンク工事)、資材倉庫(六三平方㍍)、LPG保管庫(二六・四八平方㍍)の設置工事を行い、総額で約七三四万円の工事費を投入した。
 イ 久万高原婦人農産物加工組合と久万山漬
 久万高原は冷涼な気象条件に恵まれ、夏秋野菜の銘柄産地として注目されてきた。戦後は、畑野川地域の黒ボクの深い土、年間二〇〇〇ミリを超える雨量、標高四〇〇~八〇〇㍍の夏涼しいという気象を生かして、みのわせ大根が生産され、これを原料に畑野川農協では「沢庵漬」を加工して主に県内へ出荷していた。
 畑野川地域では農家の主婦二四名が、一人二〇万円ずつの出資によって加工組合を設立し、恵まれた自然条件の中で、土づくりから野菜栽培、加工まで、一貫して手づくりによる無添加「自然食品」の「久万山漬」の計画生産、加工を開始した。
 加工施設は、昭和五七、八年度の新農業構造改善事業(前期対策)として下畑野川甲三三〇番地に建設した。
 規模は、鉄骨造スレート葺き一部二階の五一七・七五平方㍍で、建物や機械を含めて総事業費は一一四三万八〇〇〇円となった。国庫補助五七一万九〇〇〇円、町費五七一万九〇〇〇円で昭和五九年三月に完成し、四月から婦人農産物加工組合に貸付け運転している。
 「久万山漬」は、焼酎漬、粕漬、醤油漬、みがらし漬け、もろみ漬があり、いずれも畑野川の婦人組合員によって栽培された新鮮な野菜が原料となっている。
 販路は、生協組織、デパートのほか、ふるさとの森会員、巡拝客、ゴルフ客、久万高原を訪れる人たちを通じて全国に広がっている。

農村地域農業構造改善事業(前期対策) [一般型] 実施状況

農村地域農業構造改善事業(前期対策) [一般型] 実施状況