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久万町誌

一二月

 1 暮れ勘定
 どこの組でも昔から近隣の助けあいの生活が行われていた。各種共同作業の出歩の過不足・租税公課・個人の貸借・頼母子講の勘定など一年中の総決算が行われる。また今年の反省が行われたり、来年の計画などが立てられたりする。組では組長、大字では総代が中心となって総決算が行われる。
 大字の総決算は、組長や役員が集まって行われるのが普通である。
 2 お正月を迎えるための準備
 ○薪炭を山より取り寄せ、正月の準備と冬籠りに備える。
 ○糯米、粳米をついて精白する。どの家でも精米所のない間は、精白にするためやぐらや水車でついていた。
 〇正月用酒魚及び衣料の取り構え。
 〇神棚仏壇等の大掃除及び家中の掃除。
 〇餅つき、お重ね餅をつくとともにあん入り餅をはじめ、水餅といってあんをいれない餅をつくる。水餅が乾くと、瓶や桶に水をいれてそれにつける。水(寒水がよいといわれている)が腐らないうちに入れかえる。そうすると五月の田植えごろまで貯えることができ、特に農家によっては農繁期まで大事な食糧でもあった。そのため農家では、二~三俵(七二~一五○㍑)くらいつく家が多かった。
 〇正月用お飾り、しめ縄作りをする。大晦日には正月の門飾りといって門松を立てる。二八日ころ、芯のある勢いの良い若松とこれに似合いの竹を添え、門口の土を掘り、あるいは白砂を盛り、それにつき立てたり、木を割って束ねたりしてそれに立てる。この門松には、七五三縄を張り渡し、その縄の中央部に橙・若葉・山草をつり下げて門飾りをする。この門飾りも明治三八年ごろより派手になり、良木の濫伐となるので大正五年ごろからこれを自粛しようという申し合わせをした所もある。
 ○そのほか、お飾りといって一㍍くらいの七五三縄をつくり、それをふたつに折り曲げ先を円めて、上部に葉のついた橙・山草・若葉をつける。それを入口をはじめ、お水神さまお荒神さまなど大事な所に飾って正月を迎える準備をする。
 3 諸道具納め
 一か年中使用した農工用具などを、一定の所に手入れをしてまとめ、お神酒を供えて感謝し、お飾りをして正月を迎える。