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久万町誌

二月

 1 二月入りの朔
 朔はどの月でも大切な日とされていた。特に二月入りの朔は、灯明を上げて神をまつる習慣があった。白米飯を炊き神社参りをして一日休養するしきたりがあった。
 2 節 分
 三日の節分には、竹を割った先へ、タラの木とイワシの焼き頭を刺し添えて藁で縛ったもの(ヒイラギの葉を添える地区もある)を表入口の軒下に釘で打ちつけた。これは「鬼の目突き」といって、「これでわが家には鬼が入らん」と安心するならわしによるものであった。また、タラの木を小さく割り、それにネズミのハナサシの葉をはさんで、鍋などをつるす自在かぎや窯などにおいて鬼のくるのを防いだ。今でも一部には残っている。
 なお、この日に豆をヒイラギの葉や杉葉の火でいり(ヒイラギの葉を豆の中に入れるところもある)ヒイラギの枝で混ぜる。いり豆を神前に供え、明き方から「鬼は外、福は内」と呼びながらまき始め、鬼を締め出して戸を閉める。また、自分の年の数と同数の豆を食い、年間の健康を祈る。さらに、厄年に当たる者は、夜陰に、豆を紙に包んで人に見つからないように、四辻におくと厄が免れるものと信じ、そのようにしていた。これらの行事は今でも続けている家が多い。
 また、いろりの熱灰の中に一二粒の豆をいれ、豊凶や天候を占うこともあった。この大豆を「月豆」と呼び、その豆の焼け方で「何月は風がある」「早生か良い」とか「今年は秋がよい」とかいわれた。
 なお、豆まきをして残った豆は初雷まで残しておくと雷が落ちないというので、大切にしまっておく風習がある。